新美南吉童話集 (ハルキ文庫)

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レビュー : 25
著者 :
kuritanuさん  未設定  読み終わった 

昔は「狐」みたいな作品は嫌いだったんだけど(「だから何なんだ!」とか思って。)、今年取って読むと、ぐっとくる。
「小さい太郎の悲しみ」「疣」「久助くんの話」なども、そういえば子どもの頃、こういうことってあったな、と切なさがよみがえる。
一番感慨深かったのは「和太郎さんと牛」。和太郎さんが離婚に至る経緯を、若いころは「心の冷たい嫁だな」としか思わなかった。しかし、今読むと、お嫁さんが和太郎さんのお母さんの傷ついた目を見て気持ち悪く思うのはどうしようもなく、和太郎さんにもその「どうしようもなさ」が分かる。
お嫁さんも悪い人じゃない。和太郎さんもお母さんもいい人だ。それでも一緒にいられないということは、ある。
和太郎さんは子どもが欲しかったが、たとえ優しい人でも、やはり母の眼を気味悪く思うかもと考えると、再婚することができない。
そんな和太郎さんの心を慰めるのが牛であり、酒であることが、大人になると痛いほどよくわかって、ただただ涙。
「おじいさんのランプ」にしても、今まで自分が信じて、糧ともしていたものが否定され、失われる寂しさ、悔しさは大人こそよくわかる。
南吉は今どきの子どもには難しいかも。
ぜひ、大人が読むべき。

レビュー投稿日
2013年10月1日
読了日
2013年10月1日
本棚登録日
2013年10月1日
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