氷平線 (文春文庫 さ 56-1)

著者 :
  • 文藝春秋 (2012年4月10日発売)
3.75
  • (53)
  • (119)
  • (84)
  • (12)
  • (4)
本棚登録 : 892
感想 : 103
3

既に「起終点駅(ターミナル)」と「誰もいない夜に咲く」を読んでいるので、デビュー作の本作は読む順番を明らかに間違えていた。
しかし、表題作は作者の中でもとても良かった。普段と作風が違うような印象を受けたが、それが良かった。少し駆け足のような感じがしたし、最後のシーンは唐突で、そこが目新しくも後味がなんとも絶妙だった。

他だと、「海に帰る」の床屋の師匠から「いいか、失敗したなと思っても、その素振りはは絶対に見せちゃいけない。謝ることで楽になったぶん、客は不満を持つんだ」「恥はお前だけのものだ。満足させるんだ。それが技術じゃないのか技だけじゃ何も作れないぞ。人間相手なんだからな」サービス業で働いている者としては耳が痛かった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説
感想投稿日 : 2020年4月8日
読了日 : 2020年4月5日
本棚登録日 : 2020年4月5日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする