白銀の逃亡者 (幻冬舎文庫)

著者 :
  • 幻冬舎 (2016年6月23日発売)
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感想 : 55
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本当に久しぶりに本読み終えた笑
ヴァリアントという、現実には無い(たぶん)病だけど、差別される苦しみとか自分を陥れたやつに復讐したいとかは、今の世の中にも通じる部分があって。
ヴァリアントという、病によって変化した人々。
それまでは普通の人だったにも関わらず、ある日から身体能力が異常に高くなって、人の形をしていながら、猛獣のように人々に恐れられ差別されて。
恋人を失った比呂士の訴えも歪められ、事実と違う印象を植えつけられ、真実は闇に葬られて、逮捕されて。
そんな状況下で国民に真実を伝える為にテロを計画し、脱獄するわけだけど。

こういう話を読むと、何が正解かわからなくて、いつもやりきれない気持ちになる。
自分は差別だったり復讐だったり、そういう経験をしたことがないし、身近な人がそういう境遇になったのを見たこともないから、苦しみ憎しみがどれほどのものかもわからないんだけど。
実際そうなった時に、復讐を止めるのが正解なのか、でも自分から大切なものを奪った人が今も生きているという現実は、簡単に受け入れられない気がする。
人を殺した凶悪犯罪者が懲役◯◯年って判決が下った時の遺族の気持ちはどんなものか、いつも考えてみてもどれほどのものか想像できないし、懲役刑じゃ軽いんじゃないかと思ったりもする。
自分の保身の為に真実をもみ消したり握りつぶしたりして平然としている政治家とか見るとイライラして、死ねばいいのにぐらいには思っちゃったりもする。
けど、実際に殺してしまうとやっぱりそれはそれでまた大切なものを失ってしまうんだろう。
こういうのって難しいなー。

「ずるい奴が笑う世界 そう言いながら物事が
ゆっくりでも良い方に進むと信じ 今日も
正しく生きようとする君は素敵だよ
そんな自分を君も愛してあげてよ」
最近よく聴いてるのもあって、
読み終わった時にこの詞が浮かんできた。

救われるべき人が救われる世界になってほしいよね。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2017年3月2日
読了日 : 2017年3月2日
本棚登録日 : 2017年3月2日

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