そうしそうあい 3 (ジーンピクシブシリーズ)

著者 :
  • KADOKAWA (2017年3月27日発売)
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本棚登録 : 314
感想 : 4
5

たまらんぜ、毎度
良い食漫画は読み手にお腹を空かせ、良いスポーツ漫画はその競技への興味を持たせる
では、良い恋愛漫画は、読み手に何を齎すのか?人それぞれ、考え方は異なるだろうが、私としちゃ、満足感と同量の嫉妬を抱かせる事だと思う
この『そうしそうあい』を読んでいると、そうしとめぐみのイチャイチャに、砂を吐き出しそうになる。もう、そろそろ、1kgは超えるんじゃないか?
そんな風に、最高だ、と感じる理由の一つには、リアリティがある
『高嶺と花』や『贄姫と獣の王』も、『そうしそうあい』に負けないくらい、私に砂を吐かせる
ただ、現実的って意味合いでは、『そうしそうあい』の方が勝っている。『贄姫と獣の王』はファンタジー系のラブコメなので、基本的にジャンルが違うからともかく、『高嶺と花』の、金持ちと一般人のJKが交際するってパターン、これは絶対に有り得ない訳じゃないだろうが、可能性は低い
一方で、『そうしそうあい』は高校生同士で、なおかつ、不良とマジメちゃん、このカップルは、どこの高校にもいそうだ
そういう、現実的な部分に加えて、本当に好きな人と出会う前にやらかした事が負い目になっている事、厳格な親に交際を頭ごなしに否定されている事、友達の好きな人を好きになっちゃう展開など、実際に起こり得る、恋愛のイベントに、そうしとめぐみがぶつかり、その度、痛みに苦しみながらも、自分ではなく、相手の為に立ち上がる強さを魅せてくれる、そこがいいのだ
自分も、こういう恋人がほしい、そんな強い欲求を抱かせてこそ、良い恋愛漫画だ
この作品の評価を高いモノにしているのに、そんなストーリー展開だけでなく、イイ意味で上手くない絵柄も関わっているのだと思う
もし、この絵柄でなかったら、読み手は共感しづらかったんじゃないだろうか
好きな人との距離感や付き合い方に悩んでいる際、友人らが茶化しながらも、時に真摯な態度で助言をしてくれる点にも、グッと来るリアリティがある
恋愛と友情、そんで、ちょっとの自己嫌悪、それらがごちゃまぜになった、剥き出しの青春が、この『そうしそうあい』にも凝縮されていた
また一つ、高い壁を一緒に手を取って跳び越えたそうしとめぐみ。とは言え、まだまだ、苦難はやってくる。それでも、二人は諦めないだろうな
そんなバカップルの行く末も含め、(4)の注目点は、この(3)の表紙を飾っている、みきと橘の仲だ
もう大分、二人の間隔は縮まっている。それだけに、「あと一歩」を近づく勇気が出ないようだ、二人して。次巻で、みきと橘が互いの手を握れるか、そこに注目だな。できりゃ、橘には男らしさを見せて欲しいもんだが、女子からってパターンも嫌いではない
あと、できりゃ、菊池くんにも春が来てほしいな、と思ってはいる。良くも悪くもバカな川崎はギャンギャン言いつつも、本音じゃ、そんなマジに気にしないだろうが、意外と繊細な菊池くんは幸福絶頂なカップルに囲まれたら、マジに落ち込みそうだ
良い人である菊池くんが傷つくのは、あまり見たくないので、りべるむ先生、彼にも良い出逢いを齎してあげてください。可能なら、美人教師とのラブロマンスを
どの回も、私の胸を掻き乱してくるが、特に印象的だったのは、何と言っても、第26話「好きの理由」だ。めぐみが、どんだけ、そうしの事が大々々好きで、何人も、この間には割り込めないんだな、と感じ入った。また、菊池くんの一歩引いているからこそ出来る、的確な助言も響いた
この台詞を引用に選んだのは、恋の力って凄ぇな、とマジに唸ってしまったので。頭の良い女の子に、ぶっ飛んだ発言をさせてこそ、本物のLOVE。おかしくなれないなら、まだまだ、「好き」が煮詰まってないのかもな

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: コミック(一迅社)
感想投稿日 : 2017年7月23日
読了日 : 2017年4月17日
本棚登録日 : 2017年3月27日

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