篠崎くんのメンテ事情2 (シルフコミックス)

  • KADOKAWA (2018年10月22日発売)
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本棚登録 : 84
感想 : 4
5

ド派手なアクションこそないけど、じっくり読める
鰤尾先生のメンタルをえらく傷つけてしまうかも知れないが、こういう、地味な面白さを持っているのは、中々の強みなんじゃないだろうか
激しい動きの多い漫画や、展開が良い意味で忙しい漫画を読んだ後に、ふと、一息吐きたくなる、目と心を休めたいって時に、この『篠崎くんのメンテ事情』はお勧めできる
事件や事故は勿論として、戦闘もない。けど、人蔵人間ならではの、トラブルは起こる。そのトラブルの種類が、笑っていいのか、まずいのか、微妙なライン上にあるのも、この作品の良さ
まさか、主人公が人形焼きが原因で行動不能に陥っちゃうなんてなぁ
一体、何があったら、人形焼きで?!と気になった方は、是非、(1)と(2)を購入し、読んでいただきたい
また、人蔵人間にも税金が発生したり、登録の手続きを怠っていると、怖い人がやってくる、そういうリアルさも、じわっとツボってくる
それだけでなく、この(2)では、新たな魔法使いと人蔵人間のペアが登場している
どんなペアかっつーと・・・・・・まぁ、独特?
クセと言うよりはアクが強い感じのある魔法使いと人蔵人間だ
でも、悪い奴らじゃない。テンポに巻き込まれると面倒臭そうだけど、気長に付き合えば楽しい関係は築けそうではある
実際のとこ、コンペイトーの気持ちや衝動も、全く、理解不能って訳じゃない
仮にの話ではあるが、とんでもないエネルギーの塊、まぁ、神様のような存在が、私の前に出現して、このカタログの中から、好きな特殊能力を三つだけ選べます、と言われたとしよう
そのカタログの、精神操作の能力の一覧に、他者の記憶を消せる、があったら、私は最終的な候補の一つに残してしまう
誰からも忘れられたい訳じゃないんだが、自分の恥ずかしい奇行が、いつまでも他人の記憶に残られるのは嫌すぎる
そこだけ消せないなら、いっそ、自分の事は全て、忘却させよう、って気持ちになるかもしれない
そのくせ、自分の書く小説や、面白い漫画の感想は、なるべく、大勢に読まれたい、と願ってしまうのだから、とことん、私は我儘な強欲だ
そんなコンペイトーの事を、どんだけ、力を行使されても、都築さんは忘れないってのが、これまた、好い
運命って言葉で一括りにするのは、如何せん、乱暴かもしれないけど、出会うべくして出会い、これからも一緒にいるべきだからこそ、都築さんにはコンペイトーさんの力も通用しないのかね
顔を合わせようとしない割に、二度と会えなくなると知るや、動揺する辺り、コンペイトーさんも都築さんと一緒にいたいのだろう、心の底から
まぁ、彼の中にずっと、居座っていたのはどうかと思うが
登録に関する問題も、多くの人を巻き込んじゃったけど、最終的には丸く収まって、良かった、良かった
なので、(3)でも、このペアの登場シーンが多いと嬉しい
そして、この『篠崎くんのメンテ事情』で外せない魅力は、何と言っても、篠崎さんと赤月さんの関係性だろう
主従ではないし、友達って感じでもなく、恋人では決して、無い、今のトコは
しっくり来るのは、やはり、パートナーって表現だ
事あるごとに、二人の絆が強まっていくのは、ほっこりさせてもらえる
どの回も、くすっと笑えるものばかり。その中で、私が推したいのは、番外編の「名探偵ハザクラ」だ
番外編ってのは、やはり、これくらい、ハメを外さなきゃ
この台詞を引用に選んだのは、篠崎さん、カッコいいじゃん、と思ったので
ちっとは変だな、と感じながらも、それも人の個性だ、と認めて、受容できる
さすが、中の広さが中華人民共和国な男だ

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: コミック(その他)
感想投稿日 : 2019年2月18日
読了日 : 2018年11月12日
本棚登録日 : 2018年10月22日

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