どうぶつの国(13) (講談社コミックス)

著者 :
  • 講談社 (2013年11月8日発売)
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本棚登録 : 146
感想 : 10
5

究極善たるギラーと、純然悪たるジュウの激闘には感動も感銘もない
ただただ、恐怖と憎悪、愉悦、そして、狂気だけが渦巻く殺戮し合いである
人間だけが持ちうる、または、“何か”から与えられた悪性を、こうも迫力あるほどに描けてしまう雷句先生が、本編と同じレベルで凄い、と感じてしまう
人間の本質が善だの悪だの、と論議して、唯一の答えを出すのは難しいにしても、話し合うことに意義があるのだ、と考えさせられる一冊だよな、と改めて、この13巻を読んで、まじまじと思う
その一方で、純愛も突き抜けすぎれば、狂気を発し、とんでもない存在を生み出してしまう、危険な感情だ、とも思う
しかし、極論だが、愛に犠牲は付き物で、一心に貫こうとすれば、どうしたって、自分も相手も、見知らぬ他人も傷つけるものだ。それを知っていても尚、貫こうとするならば、その姿勢は誰にも責められない。誰かを想うって事は、誰かを思いやらない事でもあるのだから
人間も動物も、本能も何もかも剥き出しにして曝け出してきた、この極上の漫画も次で終幕か・・・・・・
大好きだ、と自信を持って言える漫画ほど、最終巻の一つ前がキツくなるんだよなぁ
最高の最終回を見せて欲しい、と、いつまでも読んでいたい、そんな矛盾に悶え苦しめるのも、その漫画が面白い証拠
絶対的な正しい答えを、人間がどんなに知恵を振り絞っても、血も汗も全てを出しきるほどの努力をしても出せない、「全ての動物が仲良くするには?」って問題に、タロウザは私たち読み手に、どんな彼らしい結果を見せてくれるのか
雷句先生、コッチの準備はOKなんで、もう、全力でぶつかってきて下さい、本気で受け止めさせて貰います

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: コミック(講談社)
感想投稿日 : 2013年11月29日
読了日 : 2013年11月23日
本棚登録日 : 2013年11月8日

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