山と食欲と私 7 (BUNCH COMICS)

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本棚登録 : 80
レビュー : 6
『黒犬』の優樹さん コミック(新潮社)   読み終わった 

勘違いかも知れないけど、この『山と食欲と私』を読むと、元気になる、疲れが吹っ飛ぶ、体力が回復してくるような感じがする
山は神域でもあり、そこに挑んでいる人々の姿がリアルに描かれているから?
信濃川先生の絵は、決して上手い方じゃない
けど、何とも言えない良さがあり、それが山って言う、普通なようで特別なエリアの魅力を、読み手に伝えられるのは確か
まず、表紙からして、ジャンルが分かりやすいトコも武器だろう
誰がどう見たって、食系だ、しかも、ヒロインは登山が大好きなんだ、と察せる
シンプル・イズ・ザ・ベストって表現は、ちょい違うかも知れないけど、読み手の予想を無駄に裏切らないのも、また大事だ、好い漫画には
改めて言う事でもないけど、主人公の鮎美さんには、何とも言えない旨味があるんだよな
上手くは言えないのだけど、人生が楽しそうな人だ、と思える
もちろん、彼女だって仕事で悩む事もあるし、これからの人生、どう生きていくべきか、パートナーを持つべきか、歳相応の考えに耽る時もあれば、クセの強い人に振り回されてしまう事もある
でも、山に登ることで、力を貰って、前を向き直し、次の山へ向け、力強い歩みで進んでいく、素直さを併せ持った強い性格をしている
楽しそう、であって、楽してる訳じゃない
そもそも、登山は苦行である。苦しさの方が増す。しかし、それがあるからこそ、登頂時の達成感は爽快だ。逆に、断念した時も、次のチャンスに向けての鍛え直しにやる気も増す
わざわざ苦しい思いをするなんて、バカみたい、と思う人もいるだろうけど、辛さを乗り越えてこそ得られる幸福もある。意外に、それって多い、人生じゃ。その上、そんな嬉しさの方が、人を成長させる糧になるもんだ
この(7)でも、鮎美さんは登山の中で、大勢の他人と交流し、美味しいものを食べる事で、人生って山の頂点に少しではあるが近づいた
次巻では、どんな人、どんな食事、どんな出来事が、彼女を成長させるのか、楽しみである
そろそろ、ドラマ化してもいいと思うんだが、さすがに、ある程度の登山スキルを有しているアイドルでなきゃ、主役は張れないから、難しいのだろうか
アニメになったらなったで嬉しいけど、それはそれで、アニメーターさんが過労になるかもしれんって不安がある
やっぱり、しばらくはお預けかな・・・・・・
どの回も、山登りの気持ち良さと大変さが、両方とも伝わってくるけど、個人的に印象に強く残ったのは、73話「闇抜けの肉じゃが甘酒うどん」だ
先にも書いたけど、鮎美さんだって、社会人として、壁にぶつかってしまう時があるんだな、と思える回だ
仕事に就いていれば、こういう事もある。全て回避する事は難しく、鮎美さんのようにダークゾーンに落ちてしまう事が無い訳じゃない
そんな時、闇から抜ける、自分だけのやり方があるか、が大事になってくる
鮎美さんの場合は、山に登った上で、美味しいものを食す、である。同じ境遇の読み手が、同じようにしたって、彼女のように戻って来られる訳じゃない。だから、右往左往し、試行錯誤して、自分だけのデトックス法を見つけるしかない
ちなみに、私は面白い漫画を読んで、感想を書く、これに尽きる
今、発散しなきゃならないほどのストレスがあるのか、と聞かれたら、察してくれたら助かる、と返すしかない
食べ物で、最も食欲を掻き立てられたのは、71話「金剛山&吉野山編② 桜薫るスピードスモークステーキ」で、黒蓮さんが満身創痍で、人間としての会話力が著しく低下している鮎美さんに振る舞った、桜薫るスピードスモークステーキだ
これほどまでに、シンプルな破壊力があるものは反則なんじゃないだろうか
鮎美さんが、夜の山に向かって、「ウマーイ」と叫んでしまったのも、仕方ない
この台詞を引用に選んだのは、サヨリさんが一層、美人になった、と感じたので
台詞の内容っつーより、この時の彼女の表情が、とても印象的だ
一途に目的地に向かう道中での自問自答、脳内会議を肉体が酷使される中で繰り返した事で掴めた答え、そんな揺るがない決断を出来た人っての表情は、性別や年齢、立場に無関係でカッコ良い
私が自分で望む結果を出せず、モヤモヤから抜け出せないのは、こういう風に考える時間を作るのが下手なのと、ここぞって時の決断力が鈍いからか

レビュー投稿日
2018年6月12日
読了日
2018年5月19日
本棚登録日
2018年4月9日
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