兵士シュヴェイクの冒険 1 (岩波文庫 赤 773-1)

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本棚登録 : 76
レビュー : 6
著者 :
制作 : 栗栖 継 
マヤさん 海外文学   読み終わった 

戦争を書いた作品って、どうしても暗かったり陰惨だったりするものが多いと思うのだけど、シュヴェイクのキャラクター故になんだか気が抜ける。挿絵も絵本みたい。
たらい回しにされる先々で出会う人々が生き生きと描かれ、戯画的なのだがリアリティがある。前線から離れるためにあらゆる手を使って病気になろうとする兵士たちの話には驚き。水銀の蒸気を吸ったり石油を皮下注射したり、そこまでするかと思うけど、実際に前線にいたら逃げ出したくなるのが人情だよな…。
酔っ払い従軍司祭オットー・カッツもおもしろい。酒飲んで説教するわ泥酔してクダを巻くわトランプ賭博で大負けした上借金のカタに従僕を手放すわ、やりたい放題。このありがたみのなさが、お祈りしようがしまいが死ぬときゃ死ぬよ、というハシェクの冷静な視線の現れなのかな。戦争という状態を滑稽に描き、笑いに変える発想がすごいなあ。

レビュー投稿日
2017年11月13日
読了日
2017年11月13日
本棚登録日
2017年11月11日
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『兵士シュヴェイクの冒険 1 (岩波文庫 赤 773-1)』のレビューへのコメント

アテナイエさん (2017年11月14日)

こんにちは♪ 
当時のチェコをはじめとする欧州の凄まじい歴史と戦争を背景にしているのですが、とても面白いでしょう! この作品は喜劇です。風刺的な笑いとマンガのような挿画がおかしい。ヨゼフ・ラダの挿画を収めているようなので、今となっては貴重な本かも。

「……生き生きと描かれ、戯画的なのだがリアリティがある」
わたしも同感です。ハシェクは第一世界大戦に徴兵され、オーストリー軍の兵士(ロシア軍の捕虜にもなる)だったようなので描写がリアルですね。もちろん「物語」なので、どこまでが事実でどこまでが虚構なのかはハシェクしかわかりませんが、この本は、事実を超えたある種の真実が描かれていて、物語の力を見せつけていますね。
2巻目以降もシュベイクのぐだぐだしい与太話や彼をとりまくバカバカしい世界が可笑しく笑えます。でも、現実世界は、これにまさるバカバカしい不条理な舞台かも(汗)。

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