雁の寺・越前竹人形 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社 (1969年3月24日発売)
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感想 : 43
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もう何年も前に冬の京の旅で相国寺瑞春院を訪れたのだけど、その頃は水上勉の「み」の字も知らず「そういう小説があるのか~」程度にお寺の方の解説を聞いていた。今回たまたま知人が最近読んだということで貸してくれたので、ようやく読んでみた。
なんというか、まず私の中で絵師や禅寺のお坊さんに対して持っていたイメージがガラガラと音を立てて崩れ去った。こんな坊主に法要してもらっても全くありがたくないんですけど!?と思うのだが。
『雁の寺』は慈念の復讐に水上勉自身の復讐も重ねられているのかな。なんだか不気味で怖い作品だった。水上勉の目には人間がこう見えていたのか。直木賞を取った作品なのに登録者数が少ないので、今はもうあまり読む人がいないのかな。
『越前竹人形』本物の竹人形を見てみたくなった。玉枝は妻にしたにもかかわらず自分を女として見てくれない喜助に不満だったけど、私には玉枝の気持ちよりも喜助の気持ちの方が理解できるんだなぁ。子どもにとって「母」ってやっぱり特別な存在だもの。玉枝は結果流産したことにホッとして喜助のもとに帰るけど、それってどうなの?玉枝は「嫁」にはなったけどやはり「母」にはなり切れなかったということ?喜助は真相を知らないままというのも、読み手側からするとなんだか愚かで…。でも好きな仕事をして理想の嫁さんをもらったのだから幸せ者と言えなくもない?

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 日本文学
感想投稿日 : 2016年10月17日
読了日 : 2016年10月13日
本棚登録日 : 2016年10月5日

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