長かったこの大作もいよいよ最終巻。
実は読み始めるまで、この本はタイトルの通り戦争と平和についての小難しい論が書かれているのだと思っていた。
それがふたを開けると、戦争を含めた歴史のあらゆる流れの中で、迷い考えながら生きる人々を描き出したまぎれもない「小説」だとわかって印象が変わった。
最初は主人公がいなくて読みにくい小説だなと思ったけれど、アンドレイ公爵にピエール、ニコライ、ナターシャ、公爵令嬢マリヤ、その他作中で生き生きと動いている人々それぞれがそれぞれの人生を生きている。
こんなにもたくさんの人々の人生を書き分けるトルストイの頭の中はどうなっていたのだろうと、その中をのぞいてみたい気がする。
この巻で誕生する二組のカップルは子供たちも生まれて、めでたしめでたしという感じで終わるが、この子供や孫たちの時代にも戦争は待っているのだと思うと、最後のエピローグで歴史について長々と語るトルストイの気持ちもわからなくもない。
でも最後は疲れて文章が頭の中に入ってこなくなったので、少々口惜しさが残る読書となった。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
海外文学
- 感想投稿日 : 2015年7月19日
- 読了日 : 2015年7月19日
- 本棚登録日 : 2015年7月10日
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