審判 (白水Uブックス 154 カフカ・コレクション)

  • 白水社 (2006年5月1日発売)
3.73
  • (23)
  • (25)
  • (39)
  • (3)
  • (1)
本棚登録 : 296
感想 : 24
2

生きていると説明のつかないものごとっていっぱいあるよね、わたしたちってそういう世界の中で生きているよね、と言われているような心地がした。
画家のアトリエや屋根裏の裁判所でKが感じる息苦しさだけは妙にリアルに感じられたけど、それ以外はなんだか夢の中の出来事のような、フワフワした感じで、あってもなくても同じことみたいな印象。
理由もなく周りの女の人に好かれるとことか、象徴的だと思う。ものごとに理由なんてものはなくて、そうなるべくしてそうなっていくのだから、最後に死が来るのは必然といえば必然なのかな。
「罪」などというものは他人が勝手に決めるもので、決めつけられた方には決めつけられた方の言い分があるはずだけど、そもそもなんの罪なのかもわからずに話が進むのだから、手も足も出ない。
まるで真っ白のトランプでババ抜きしてるみたいな、途方もなさを味わう小説だった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 海外文学
感想投稿日 : 2019年4月10日
読了日 : 2019年3月25日
本棚登録日 : 2019年4月3日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする