おすしが ふくを かいにきた (MOEのえほん)

著者 :
  • 白泉社 (2022年10月3日発売)
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本棚登録 : 1171
感想 : 72
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 いつもの図書館の新刊コーナーにあった、ミニチュア写真家・見立て作家の田中達也さんの絵本、第二弾とのことですが、前作を未読のため、初めて読んだときの、その斬新さにはとても驚きました。

 タイトルを見て、「いったい、どういうこと?」と思わせる、好奇心を刺激される要素には、まさに子どもがふと頭に描く、「こんなことがあったらいいのにな」といった、願いを具現化したような、夢のある構想が素晴らしい上に、それぞれのものたちと買うものとが、うまい具合に意味付けされている面白さも、よく考えられていて、その独特な箱庭の世界観を、更に魅力的なものにしています。

 また、その箱庭的な面白さとして、それぞれの店のオブジェクトも、共通性のあるテーマで統一感を出している点が挙げられ、例えば、アイスが帽子を買いに来た店は、ウエハースをレジカウンター、チョコレートを棚にしていて、鉛筆がカットに来た店は、文房具で統一した中でも、椅子を消しゴムに、その肘掛けと土台をダブルクリップにしていて、ダブルクリップは更にちりとりにもなるといった、その使い勝手の良さが印象的。

 いくつかあるシチュエーションで、特に私が好きだったのは、ソーセージが車を買いに来たシーンで、ちゃんと辻褄は合っているけれど、これはある意味切ないなと感じられた分、その後の彼女とのドライブが、また格別なものに思われて、ここも関連性のあるもので、太陽や道路などが作られているのが面白いです。

 そして更に、これら全てのシチュエーションを通して、一つのストーリーが密かに進行していた、その遊び心も素晴らしく、それは見返しの、ご飯粒に釣られる犬の場面から既に始まっていた、犬の大冒険と、おそらく飼い主なのかな? 諦めずに、ひたすら犬を探し続ける、おじいさんの微笑ましい追跡行も見所ですよ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 絵本
感想投稿日 : 2024年4月2日
読了日 : 2024年4月2日
本棚登録日 : 2024年4月2日

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