地下世界をめぐる冒険——闇に隠された人類史 (亜紀書房翻訳ノンフィクション・シリーズIII)

  • 亜紀書房 (2020年8月26日発売)
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感想 : 25
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地下世界や洞窟などというと、フィクションめいて聞こえそうだが、ここに書かれているのは、紛れもないノンフィクションで、著者が自らの半生をかけて潜った数々の地下世界は、とても興味深かった。

日本で暮らしていると、なかなかお目にかかれないし、そもそもマンホールを開けて潜ってみようとは思わないが、さすが世界ともなると、歴史もあり、生活や宗教とも密接に関わっており、広さも壮大で、ニューヨークやパリの地下にも当たり前に存在している。

洞窟探検と聞くと、すごく好奇心を刺激され、楽しそうな印象もあるが、実際は、自らの明かりのみが頼りの暗黒の世界である。また、地下何百メートルに一人でいることを感覚で理解した瞬間、精神や肉体に支障をきたす場合もあり、マヤ人が、地下世界に神がいると認識するのも分かるような気がするし、見えないものに対する、原始的な恐怖は、人が無意識に持っているものの一つだと思う。

ただ、それでも地下に潜って、遙か何万年か前に、生きた証を残した先祖の面影に接したいロマンめいた気持ちも分かる気がするし、見えない部分に想いを馳せることは、私が普段歩いている世界も、まだまだ違う顔があることを教えてくれた気がします。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ノンフィクション
感想投稿日 : 2020年10月26日
読了日 : 2020年10月26日
本棚登録日 : 2020年10月16日

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