ひまわりの眩しい、夏の牧歌的風景において、ごく自然に佇んでいるかに見える、その柵は、人種が異なることにより、安全を確保する目的で、仕切られているという。
しかし、本当に危険だと思うならば、いっそのこと、向こう側が何も見えないくらいの、厳重な厚い壁でも張り巡らせればいいとも思うが、そうしないのは、おそらく、どこかでそうしたくない願いというものもあるのだと、私は感じております。
『この うえに のぼると いい きぶんなの。
ずっと とおくまで みえるよ』
『こういう さくは、こしかけるために あるのよ』
本書の原題である、「THE OTHER SIDE」には、『向こう側』という意味の他に、『逆の見方』という意味もあり、柵に登ってずっと遠くまで見えるというのは、もっと世界を広い視点で見ようよといった、メッセージにも感じられて、それを子供たちに考えさせるような展開も、大人とはまた違った柔軟な思考法を教えてくれて良いと思います。
そして、その柵がお互いの世界を狭めさせたのなら、そこに登って更なる広い世界を見ればいいといった、正に逆転の発想には、私自身の人生に於ける、新たな物の見方を教えられた気がしましたし、日本人にとって馴染みの薄い、多様な人種が隣り合わせで生活する社会を、絵本で知ることのできる、手軽ながらも意義深い、こうした機会をこれからも大切にしていこうと思いました。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
海外絵本
- 感想投稿日 : 2022年11月18日
- 読了日 : 2022年11月18日
- 本棚登録日 : 2022年11月18日
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