ビブリア古書堂の事件手帖 ~栞子さんと奇妙な客人たち~ (メディアワークス文庫)
- KADOKAWA (2011年3月25日発売)
梶山季之のアノ本を読んだ時、ブクログ仲間さん達の話題に上っていたので気にはなっていた。でもライトノベルっぽい装幀と、ちょっとブームに乗り遅れた感もあって手を出しそびれていた。
今回のテレビドラマ化と書店の大量平積みのダメ押しに乗じて、ようやく購入。
正直なところ少し甘く見ていた。
三上延さん、すみません。とっても面白かったです。
東西2軒のブックオフを直線で結んだ中間地点に我が家はある。
自転車でぷらりと行けるその範囲内には、それとは別に古本屋が3軒ある。
品のいい老夫婦が営む、時代小説と文芸書が中心の昔ながらの店。
松本零士か水木しげるの漫画に出てきそうなオヤジがいる、SFやらミステリやら特撮関係の謎の本が大量にある魔窟のような店。
新進の若い店主が開いた、外国の絵本や昔の婦人雑誌などが綺麗にレイアウトされている洒落た店。
ジャンルは被らずうまく棲み分けはできているようだが、もしかしたら業界にも暗黙の了解とか仁義があるのかもしれない。
三ヶ月に一度は近所の神社で蚤の市が開かれ、古書の露店も出る。
そして毎年秋口には表通りで素人参加の古本市も催される。
百円、二百円で掘り出し物を探し当てては部屋の隅の椅子にぽんと置いていた。それはいつしか背もたれを越え、脚の内側に置いていた本も溢れ出し、椅子を骨組みとした蟻塚のようになってしまった。部屋を掃除しても、なぜだかその蟻塚だけは崩すことができない。
僕は読書以上に「本」そのものが好きなのかもしれない。
北鎌倉の、栞子さんの営む『ビブリア古書堂』は本好きにとっては夢のような場所だ。そんな店があれば是非行ってみたい。
本には人の様々な思いが詰まっている。
しかし思いも強すぎれば狂気となる。
そして本と人の縁はどこかで必ず巡ってくる。そんな話。
古書の蘊蓄とそれにリンクした謎解きと人間ドラマが楽しい。
栞子さんの「ベッド・ディテクティブ」ぶりに唸る。
意外なところに張られた伏線と話の運び方や各短篇のラストの「引き」の演出の巧さ。小道具の使い方やミスリードも憎い。
もっと早く読んでおけば良かった。
さっそく2巻を買ってきてしまった。
- 感想投稿日 : 2013年1月13日
- 読了日 : 2013年1月13日
- 本棚登録日 : 2013年1月13日
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