(ネタバレが含まれます)
これにて「四大寄書」、完全制覇となります。
どうでしょう、今まで読んだ本の中で、これが最も「奇書」であった気もします。というより、総決算というような。
『ドグラ・マグラ』の酩酊感、『黒死館』の衒学趣味、『虚無への供物』の推理合戦…それらの要素を内包して、一つの作品に仕立て上げた、という印象です。
特に自分が気になっていた『虚無への供物』での推理合戦、その十戒作りの部分が再現されていたのには、ニヤリとしつつ。
同じ作者の『汎虚学研究会』を読んだときには、文体・内容ともに正直あまり出来の良い作品だとは思わなかったので、読むのが不安だったのですが、いい意味で裏切られました。
自分はどちらかというと、こういった若書きの文体の方が好みなのかもしれません。
ただ正直、一気に十数人の登場人物が登場し、複雑な人間関係が一気に提示されるので、脳が少し足りない自分には理解が大変でした。あげく、作中作、作中作、という構成が続くので、それもまた理解に時間がかかりました。
読後の酩酊感、作品世界の中に取り残される感覚はとても良かったのですが、しかし正直、一つの小説として読み進める魅力、次へ次への推進力があったかと言われると、微妙かなあ、という気もしました(構成上、仕方の無いことかもしれませんが)。
さて果たして、第五の寄書は現れるのでしょうか?(自分の中には、もしかしたらこれがそうなのかもしれない、というものが幾つかあるのですが、それはさておき)
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2014年7月28日
- 読了日 : 2014年7月25日
- 本棚登録日 : 2014年7月25日
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