なんだよ高一事変って。高校事変の続きを書いてください松岡先生。そりゃやっぱり結衣を主人公にしたいだろうし、ファンも喜ぶと思うけどさ。とはいえ安直過ぎないか?しかも事変イチ面白くなかった。

特に結衣の作る様々な手作り兵器の描写が、ギリギリできそうかな、のラインを大幅に超えていて荒唐無稽すぎて引いた。電子レンジは核融合炉と同じ原理ではないのは素人でもわかるし、プラズマビームが出せる波動砲なんか作れない。て言うかコンビニになぜアルミ粉が売ってるんだよ?画材コーナーとか無理がありすぎ。同様にアンモニアとヨウ素混ぜただけで三ヨウ化窒素はできないし、そんなに簡単に爆発しない。澱粉溶液は確かに非ニュートン液かもしれないが、それと打撃のダメージを減らす事は別だろ。キュウリのピクルスも電池程度ではそんなに光らない!アセトンと五硫化リンで悪臭、って、なんでそんなものがあるんだよ????毒の沼地のフルオロアンチモン酸でドラクエ1の竜王と同じ、って、そんな人間が溶けるような酸が産廃だけでできるわけねえだろ!!!!

しかも敵役がショボい。なぜだ?いつもの高校事変テイストなのになんでこんなに楽しめないんだ?飽きてきたのか?いや、やはりなんとなく作者のほんの少しの怠慢が原因な気がする。もう少し凝ってくれてれば…と最高に残念に思った。

いつものノリで楽しめない何かほんの少しのズレ、かけ違いがあったんじゃないかと思う。登場人物や展開などの構成要素は同じなのに、こんなに楽しめないのが不思議だった。やはり飽きたのか??星3…

2026年6月16日

読書状況 読み終わった [2026年6月16日]

高校生達のワンシチュエーションの連作中編集。どの話もトリックが仕掛けられていてミステリとして描かれてるんだけど、解くべき謎がどれもとても些細で、殺人とか犯人を探すようなものではなく、軽妙で面白い。

中でも気に入ったのは女子高校生3人のエピソードで、トリックもなかなか良かった。ただ後半になると、トリックが仕掛けられてることに連作を読んでて気づいてるわけで、割とすぐわかっちゃったりはした。すごく読みやすかったけど、特にめちゃくちゃ胸に響いたってこともなかった。殺風景って苗字がふざけてるなあ、ってのはすごく思った。

たまたまブックオフで朝井リョウの本の隣に並べてあって間違えて手に取って、表紙のイラストがかわいかったからそのまま買って読んだ。

2026年6月3日

読書状況 読み終わった [2026年6月3日]

これは面白かった!よくもこんな話が思いつくもんだ。多様性とはなにか、多数派とは、自分が当たり前だと思ってる価値観とは?多数派の価値観によって暗黙のうちに支配されてる世の中と、そうでない人たちとの戦い、諦め。とんでもない物語だった。

これを読んで荒唐無稽な話だ、と捉えるか、それもと世の中の解像度が上がったと捉えるか。でも朝井リョウはそんな読者を登場人物の口を借りて、お前らに受け入れられる必要はない、ほうっておけとバッサリと切り捨てる。

一気に読み終わった直後なんだけど、思考がまとまらない。多数派が唱える多様性によって何かができるなんて思い上がりではないのか?そんな質問を突きつけてくる。そんな中でも、やはり誰かと繋がりたい。

オープニングから辛い終わり方をするのはわかって読者はページをめくり、ラストはやっぱりこうなったか、と感じながらも、「いなくならないから」、彼らがこの言葉にたどり着いたことで少し救われた気持ちになる。朝井リョウの手腕に完全に踊らされる読書体験だった。

色んな人物が出てくるんだけど、最も理解しやすいのは検事の男で、こいつもこいつでダメダメなんだけど、息子を心配しつつ世の中舐めるなよって考えちゃうこの部分はすごく共感してしまった。しかし水に欲情とか挿入されると涙が出るとか、実際にいるんだろうけどどうやって着想するのか?

間違いなくすごい読書体験だったけど、すごい読書体験と物語の喜びはまた別なんだよな。なので星5ではなく4という感じ。

2026年6月2日

読書状況 読み終わった [2026年6月2日]

ある女性の姿を第三者に語らせ、取材という手法で浮き彫りにしていく意欲的な作品。「悪女について」を思い出した。そこに主人公の家族も絡んできて、少しずつ解き明かされていくその女性の人生には魅了されるし、深まっていくドラマに引き込まれて、香港に出張してる間に一気に読んだ。

って書くと面白そうだし、確かに面白かったんだけど、なんかこれはテーマを詰め込みすぎじゃないか?作者頑張りすぎじゃないか?知ってること全部詰めたのか?という気もした。簡単に取り上げられているテーマだけでも、女性が差別された時代、男に縋らないと生きていけない女性達、ゲーム業界、ゲームやアルコール依存、不倫、芦原大火などなどあり過ぎで、収拾がついていない印象を持った。それに、開幕がいきなり昭和30年代の火事のシーンで、ここがとっつきにくい。どんな話になるのかさっぱりわからないし、ラストまで読むと意味は通るんだけど、これは導入としては筋が悪いんじゃないかなあ。

それと最も無理があると思うのは、生きてる人間に対してそこそこ近い関係の人たちが軽々しく個人的なことまで喋り過ぎでしょ、という点。報じないからいいってもんじゃないだろ。ここが不自然を通り越して無理だろ、と思いながら読んでた。あとさ、途中で出てくる教師は女性で女子生徒に強制わいせつしたって事だよね?そんな事もあるのはわかるけど、ちゃんと書き分けてないからえ、って思って無駄に戻ってしまってわかりにくかったよ。

しかし塩田武士はすごく力のある作家なのは確かだよ。途中のゲーム依存の若者の「ゴミクズがあ!」とか「謝るまで止めんぞ」の描写がリアル過ぎて涙が出たよ。

少しずつ話がつながって広がっていくミステリとしてはとても面白かったし、サウンドノベルのファンとしてはそれが登場してて嬉しい限り。しかし全体的に風呂敷を広げ過ぎてちゃんと畳めてないなと思うし、ラストもあっさりしすぎという印象。それと、俳句の「朱の化身」とタイトルの「朱色の化身」について解釈を残してきちんと語られていないのも物足りなかった。

2026年5月30日

読書状況 読み終わった [2026年5月30日]

何かの動画でこの呉座氏が喋っていて、歴史にめちゃくちゃ詳しくて楽しそうに話してるから興味を持って買ってみた。実際俺は豊臣秀吉に大して関心はないし、全然詳しくない。よくある時代劇やマンガに出てくる秀吉像しか知らない。へうげものとかその程度のレベル。そして香港に出張してる間、何故かこの本を持ってきていて読んでいた。意味不明だよ。

実際我々が抱いている秀吉像をなるべく信憑性の高い史料を元に読み解いて、誤解をただしていくような手法はなかなか面白いし評価できる。結構後年に作られたフィクションとしての秀吉像が我々の抱いている秀吉像になっていて、情報がどう作られ、我々が何を選択して伝えていくのか、信じていくのか、という一例を見せてくれてとても興味深い。ただ、秀長くらいまでは俺も知ってていいんだけど、ねねとか茶々とかの生い立ちや親族とかはだんだんどうでも良くなってくるし、次秀勝って人間に至っては読み方すらわからないからね。そこははっきり言って門外漢には退屈だった。

秀吉の唐入り、まあつまり朝鮮出兵なんだけど、これにはやはり壮大なロマンを感じる。なんだか先の戦争の日本の姿に重ね合わせられる点が沢山あると思う。国内の矛盾や土地や資源の不足を外部に展開して解決しようとするあたりに共通するものを感じる。しかしソウルや平壌まで戦国時代の日本人が攻めて行っていたっていうのは凄まじいロマンだわ。武士たちがどう戦ったのかなど興味は尽きない。これについての本はもっと読んでみたい。が、この本を読んだあとだと史料が乏しいからフィクションぽくなっちゃうのかな〜とも思う。当時日本に捕虜として連れてこられた朝鮮人の手記などが残っているとか、そういう点も知れたのは良かった。

しかしこの本、突然家系図や戦の布陣図などが掲載されるんだけど、本文に「図Nを参照」などが全く書かれていないので完全にページの埋草にしかなっていなくて残念だし困惑する。それと著者は「これは結果論に過ぎないが」などと言ったりするんだけど、そもそもお前らのやってる歴史の研究そのものが結果論しか観測できないのでは?と思った。なんというか、いろいろな雑学を得ることは出来たけど、この内容を一冊にまとめて嬉しいのは作者だけだな、あんたは楽しいだろうな、って思って読んだ。暇つぶしにはなったかな。

2026年5月29日

読書状況 読み終わった [2026年5月29日]

うーん。中盤はすごいスピードで読み進んだし、結局時間を見つけては貪るように読み、半日で読み終わってしまった。なので力のある内容なんだとは思う。ただ、物語として面白かったかと言われると少し違って、終わり方も俺の好きなスタイルではない。

テーマとなっているのはいわゆるチャーチマーケティングであり、信徒と教義を作ると国見が唱えたあたりは痺れた。推し活、MBTI、貧困、陰謀論など、現代社会の様々な問題や、帯にもあるような今の空気を捉えた作品であることは間違いないと思う。ただ、刺激的で現代的な題材を扱っていることと、物語として面白いことは別で、そこはあまり繋がっていないように感じた。物語的な喜びとは?と読み終わった直後の今は思っている。

物語は収束してくれず、三人いる主人公たちは一瞬交錯するも、それぞれ現実社会に投げ出されて終わった。なので読後感は良くない。もちろん、主人公のひとりである中年男の久保田や大学生の澄香がそれぞれ新しい出来事や物事に出会っていくシーンには胸が弾む。でも破滅が予想できてるから100%は楽しめない。そのヒリヒリするような展開は良かったんだけどな。

ラストが美しくなかったし、もう終盤でこれちゃんと収束しないで終わるわな、って予想ができて悲しくなった。まず俺はこの3人の誰にもあまり感情移入ができなかったんだと思う。いや、どの登場人物にも自分を投影できなかった。一番スペックの近いのは久保田だけど、彼には友達がいないという。あまり共感できない。アイドルの道哉が言う、男性はお茶をしない、というのもあまり当てはまらない。いけ好かない澄香のクラスメートにもマーケターの国見にも誰にも感情移入ができず、そこが俺にとっては物語としての魅力に欠けたんだと思う。オタク活動はしてきたけど、ここまでのレベルの推し活をしたわけでもないしなあ。

作中にはいくつかのキーワードが出てきて、視野、孤独感、没入感、みたいなものがあった。特に視野を狭める、広めるという話は印象的だったが、それは時と場合によるんじゃないかな?とどうしても思ってしまった。アイドルグループのお題目がbloom myselfなのと、中年非正規女性の絢子がハマった団体がブルームマイセルフなのは単に皮肉なのか、象徴的なフレーズにしたいのか、それ以外の必然性やトリックがあるのかと思ったけど、そうじゃなさそうで肩すかしだった。

はっきり言えば、現代の空気を捉えているようで、俺の求める小説の面白さとは少し違った。俺はフィクションには、同時代の空気を捉えることだけではなく、物語としての喜びを求めているんだと思う。ただ、中には力強い部分もあって、だからこそ一気に読んでしまったんだと思う。フェアに見れば、現代社会の空気を捉えた力のある作品だとは思う。でも俺が小説に求めている物語的な美しさは、ここにはあまりなかった。

2026年5月19日

読書状況 読み終わった [2026年5月19日]

Netflixで「地獄に堕ちるわよ」を観て細木数子に興味を持ったので読んでみた。俺自身、思春期以降テレビのオンエアを観るということを全くしていなかったので、そう言えばなんか占いの本を書いてたおばさんか、程度の認識だった。ドラマでは美化されていた、とまでは言わないけど、やはり物語として成立させるために虚構が作り込まれる(これは冒頭のクレジットで「事実に基づいた虚構」とされていることからもわかる)。そこで参考文献とされる本書を手に取ってみた。

さて、ドラマでは基本的に「えげつないこともするけど戦後の飢えを生き抜いた欲望に忠実な女性」って感じに収まってると思うんだけど、本書を読むとそれどころじゃないのがよく分かる。かなりまろやかにして物語的に盛り上がるエピソードを抽出してるのはもちろんなんだけど、実際は年もサバを読むわ、管理売春をやってた恐れがあるわ、六星占術は他の占いの丸パクリだわで、欲望の強い人物なのはもちろんなんだけど、普通に清濁どころかもっと濁ったものまで併せ呑む人物だった。ドラマの内容を補強する意味では面白かったし、ドラマで描かれた人物像の奥に何があったのかを知るにはかなり興味深かった。

興味深いのが、筆者の溝口があとがきで「日本人の生き方は何種かにパターン分けできるかもしれない。細木を通して日本人のある種の姿を追求できるかもしれない。」と書いていること。確かにこの時代、細木のような人間、言うならば倫理無視欲望優先型の人間は沢山いたんだと思う。ただ彼女の場合は、極端にメディアに露出した点が突出していたのかなあと思う。この考え方は結構面白いなと思うし、溝口が細木の中に見た生き方のパターンとはどういうものだったのか。

しかし、ついさっきまでヒロインとしてドラマで観ていた人間がめちゃめちゃにこき下ろされているのはどうにも心苦しいものがあった。また、批判をされて当然の行いは枚挙に暇がないわけだけど、解説で鈴木エイトが言っていたように、溝口が細木の身体的特徴などを揶揄するところは大変見苦しかった。また、週刊誌同士の記事合戦のような描写やスラップ訴訟のあたりに至っては、もう面倒くさくて読みたくなくなるくらいだった。

溝口敦のドキュメンタリーは他にも読んでみてもいいかなとは思った。

好きな作家のエッセイを読むことは、その作家自体をひとつの作品として捉えたときにその作品のファンブックを読むようなものだと思う。作家がどういうふうに考え、どんな日常を過ごし、どんな小説を読んでいるのか。そういったことを垣間見ることができる。ファン心理とは実に気持ちの悪いものである。

さて、この本は2016年から2022年にかけて書かれたエッセイをまとめたものだ。2020年以降のものは文庫版にしかないらしく、そこではコロナやウクライナ侵攻までが話題に上がるので、今日の世界とすぐ地続きであるという気がする。

しかし東山彰良は2015年に直木賞を取っているはずなのだが、前半ではひたすら「あまり売れない作家である」と本人は書いている。本当にそうなのかな?と思いつつも、その後さらに文学賞を取ったりするうちにそういった発言は減っていったので、東山本人の自認が変わっていったのだろうなあ、などと思って読んだ。俺はどんな賞を取ったから読むとかそういう価値観を持たないので、どっちでもいいよ、と思っていた。

しかし小説家というのは、めちゃくちゃ小説を読んでいるし、細かくよく覚えているものだ。しかも東山は大量に海外小説の翻訳を読むようだ。俺個人としては元の言語で読めないのなら、どんなに優れた作家のものであっても自分の言語で書かれた別の作品を読もうかなと思っていたので、そこは不思議だった。でも後半のリービ英雄との対談で、自分で英語で書いた本を日本語に訳すよりも、翻訳の専門家に任せたほうが良いものができる、というような会話があって、ああ、なるほどなあ、と思った。どうやら翻訳者というのは、単に機械的に翻訳しているだけではなさそうだ。いや、それは新訳なんかで読みやすさもニュアンスも変わるので、俺も知ってはいた。でも再認識したので、この本に出てきた東山推薦の翻訳小説たちは少し読んでみようかなと思った。

しかしエッセイには興味があるのだが、後半に2つ出てくる対談は全然面白いと思わなかった。これは不思議なものである。

そう言えば、中に「なぜおれたちは年相応に尊敬されないのか?」って話が出てくるんだけど、これは結構面白かった。要はブランド物を身に着けないからだと。なるほどなあ。つまり身につけているものは記号でもあると。ただ、我々もその記号的なものを能動的に利用することはあるよね。葬式とか。敬意を示しているんですよ、という記号として、短パンでは行かない。ちょと考えさせられたよ。

次に東山彰良を読むなら小説にしよう。ほとんど読んでしまっているんだけどな。

2026年5月14日

読書状況 読み終わった [2026年5月14日]

話題になった頂き女子りりちゃんを取材したノンフィクション。女性記者が拘置所に足繁く通って取材をしていく姿が描かれている。この記者はホス狂い女性たちを取材する過程で歌舞伎町に暮らしていたりもして、りりちゃんのことも逮捕前から注目していたという。記者の彼女はどんどん加害者であるりりちゃんに感情移入していき、周囲からはいきすぎだと言われていく。その姿も赤裸々に綴っている点には好感が持てた。

事件についてはかなりセンセーショナルで、頂き女子のマニュアルを販売していたなどとはネットなどで仄聞していたが、被害者たちを「おぢ」と呼び習わしてカモにしていく姿は圧巻で衝撃的だった。さらに興味深かったのは、そもそもそのマニュアルや手法が、加害者が他のナンパ界隈の男たちのどうやって女性をカモにして搾取していくか、というようなマニュアルに着想を得ていること、また、そもそも頂き女子の行為自体が彼女たちがホストからされていること、みたいな連鎖的で螺旋的な構造を見せつけられて暗澹たる気持ちにもなった。

加害者のりりちゃん自体には幼少の頃からの家庭での虐待や母からの愛に飢えていたりなど色々あるんだろうけど、そこには余り興味は持てなかった。りりちゃんが被害者に対して全く罪悪感を持つことすらできず、なぜ詐欺がいけないかも理解できていないという姿はなかなか衝撃的だった。かといって、ここに現代社会の縮図があるとか家庭環境によって犯罪が引き起こされたとかまとめるのは陳腐すぎるかな。こういうやつもいたんだな、なるほどすごいな、って言うのが俺が思う正しい感想かな。

しかし後半、支援者からの手を振り払ってどこかの誰かと獄中結婚しているとか、そこは拍子抜けしたし、なんともつまんねえなあと思った。まあそりゃ事実はドラマティックだったり感動的だったりする方にだけ行くわけじゃないよねって感じ。

2026年3月22日

読書状況 読み終わった [2026年3月22日]
カテゴリ 事件・犯罪

うーん。とにかく呑気である。本質的に労働をする必要がなく食うに不自由しない皇族なだけで呑気なのに(もちろん皇族ならではの大変さや苦悩があるであろうが別の話である)、さらに研究者としてイギリスに留学していた時の二重に呑気な記録なのである。労働する必要のない一族のひとりなのが行間に滲み出ていて、そこが魅力なのかもしれないけど少し鼻につく時がある。

留学記としては特に何か目新しさは感じず、結局この本の魅力や特色は著者が皇族であるって事に尽きるのかなと思った。書き手の属性から読み手は親しみやすい宮さんだな、などと考えたりする大変メタな読書体験なんだろうな。俺はあまりそこに魅力は感じなかった。

この人は皇族なのに謙虚なのがいいなと思ったけど、日本で皇族やってたら謙虚にならざるを得ないか、とも思った。あまり面白く感じなくて読むのに1ヶ月半くらいかかってしまい、私の読書ペース・モチベーションに大変な遅延を与えた本。

2026年4月22日

読書状況 読み終わった [2026年4月22日]

これもまた"This is I"を観て読んでみた。これの方がどちらかというと映画原作って感じだな。これと前回読んだ和田医師の話を組み合わせると、映画の解像度がかなり上がった。

すごく読みやすかったけど、まあこれはある実在の人物の人生の話であって、あんまりここが良かったとかではないんだよな。ああ、そうでしたか、そのような人生でしたか、というのが感想。

性別に違和感を持つ人のリアルな気持ちは、少し垣間見ることができた気はする。

2026年3月11日

読書状況 読み終わった [2026年3月11日]

Netflixの"This is I"を観て色々知りたいことがあったので、原案とされる本書を読んでみた。映画の中でさらっとだけ語られる性転換手術(主にMTF-SRS - Male to Female Sexuality Reassignment Surgery)の具体的な術式などにも興味があったのと、この和田医師その人にも興味が湧いたから。この本自体は和田医師の元妻が書いているという体になっているんだけど、まず、読みづらい。シーンの描写が散らかってるし、時系列も前後してとても読みづらい。

ただ、MTF-SRSの術式の描写についてはとても細かく書かれていてそこは良かった。風呂で自分の性器を洗いながら、ああこの部分を陰核に、この部分を小陰唇にするのねえ、余った神経とかどこに格納したんだろうな?とか考えたし、造膣術なんていう聞き慣れない言葉も知識欲を満たす意味では良かった。それと和田医師はMTF-SRSだけではなくてFTM-SRSや豊胸や顎の骨切りなど色々な手術も手掛けていたという事も知れたのは良かったね。

でもどうにもこういうノンフィクションはプロの書き手に任せるべきだなと強く感じた。もちろん故人について書いているわけで、その場で肉声を拾えないというのはあると思う。でももう少し和田医師の考えや志したものなどをうまく書けただろうにな〜と残念に思った。内容は興味深かったけど読み物としてはイマイチ。映画はエンターテイメントとしてとても良くできてたので、まあその副読本として読んだって感じ。単体で読んでたらもう少しがっかりしただろうね。

2026年3月10日

読書状況 読み終わった [2026年3月10日]

撃てない警官シリーズの5冊目。今回は短篇4つと中篇という構成。綾瀬署に赴任してきた刑事課長代理の上河内のキャラがいい。最初は鼻につく感じだったのが、柴崎もどんどん絆されて、これまでシリーズにいなかった魅力的なキャラとして造形されてる。

いつも通りどのエピソードもミステリとして成立してて面白い。この巻以降、撃てない警官シリーズは書かれていないみたいだけど、本来事件を取り扱わない警務部の内勤警官を主人公にして、かつ捜査に絡めつつミステリとして仕上げるこの構成で続けるのは流石に無理があったかな、という気もする。

最終巻らしく綾瀬署の布陣も固まり、柴崎自身もここでやっていくような予感を与えてくれた。ラストシーンも希望を感じさせてくれてとても良かった。面白かった。

2026年2月18日

読書状況 読み終わった [2026年2月18日]


撃てない警官シリーズの4巻目。初の長編。今回は児童の失踪事件から始まり、捜査一課に犯人と目される人物がいる中、綾瀬署の高野と柴崎がまたどんでん返しをする。流石にまたかあ、毎回覆すよなあ、とは思いつつ、ミステリとして面白い。筆頭の被疑者から社内の怪しい男や被害者の兄まで、様々な揺さぶりを読者にかけつつ進んでいくのは上手い。

主人公の柴崎も警視庁に戻りたいと思いながらも所轄の仕事にやりがいを感じている描写があり、また署長の坂元の動きや刑事の高野の成長、所轄と捜査一課の衝突や警視庁と千葉県警の衝突などもうまく組み込まれていて読み応えはあった。

被害者の父親のびっくりするまでのサイコパスぶりもなんとも薄気味悪くて、作品に重みを加えてた。面白かった。

2026年2月15日

読書状況 読み終わった [2026年2月15日]

撃てない警官シリーズ3巻目。前作では署長の坂元との関係がよく描かれていたが、今回は若手の女性刑事である高野が登場し、彼女の刑事としての成長が描かれる。主人公の柴崎と言えば相変わらず出世コースに戻れない焦りを感じながら、所轄の警務部で様々な事件に巻き込まれていく。

もはや安定したつくりで、どの事件にも警察の裏をかこうとするような裏がある展開は都合よくすらある。柴崎を巻き込もうとするとそうせざるを得ないのはわかるんだけど、続編ではこの辺りにもう少し説得力を持たせて欲しい。綾瀬署だけに複雑な事件が集まるのは不自然だろ。

ただ、新しいスタイルの警察ものであり、優れたミステリであることは否定できない。続編も読むよ。

2026年2月12日

読書状況 読み終わった [2026年2月12日]

撃てない警官シリーズの第2巻目。綾瀬署の柴崎がこの巻では年下のキャリア女性を署長に迎えて、様々な事件に関わっていく。警務部という捜査に携わらないはずの部署にいながら、署長や副署長に半ば押し付けられつつ、柴崎が独自の捜査とも言えるものを展開し、警察官として成長していく姿を描く。本人は総務畑でやっていきたい、警視庁本庁に戻りたい、と願っているのとは裏腹に、彼は事件の謎に踏み込んでいく。

4つの短編と、中編である表題作の「出署せず」のどれも上手にミステリとして仕組まれていて本当にうまい。これは本当に新しいスタイルの警察小説だと思う。警務部の柴崎が関わるくらいなので、派手派手しい刑事課が担当するような事件は出てこないにも関わらず、最終的には殺人などまで解き明かしていく展開は面白い。この巻ではキャリア署長と現場の刑事たちの確執も描かれつつ、前巻から続く柴崎の人間関係の広がりも見せてくれる。続きも楽しみなシリーズである。

2026年2月10日

読書状況 読み終わった [2026年2月10日]

沖縄のヤンキー達の中に自ら飛び込んで調査を行ったエスノグラフィー。最初は潜入ルポかなと思って読み始めたんだけど、「参与観察」と呼ばれる、調査だと明かした上で集団の一員として生活する、といった大変意欲的なフィールドワークから書かれた一冊だった。

暴走族、型枠解体、セクキャバ経営など、沖縄地元のヤンキー達の人生を10年にわたって調査したのはすごい。調査対象との関係も長期的に築いていて、自らをパシリとして位置づけきちんと仲間として扱われているのが凄い。内容も沖縄のいわば周辺的な人々の姿を描いていて、DVや離婚の多さにびっくりする。

ただ、調査内容は面白いんだけど、レポートとしての分析結果や調査結果に対する著者の意見といったものがあまり感じられず、で?なんなの?と言うのが読み終わってからの印象。客観的なレポートとしてはこれでいいのかもしれないけど、書籍として読むならもう少し著者の感情というか、その場で何を感じたのかが知りたかった。せっかくそこまで飛び込んで時間や生活を費やして調査をしたのに、その本人の声があまり聞こえてこないのがもったいない。そこが聞きたかったなあ。物足りない。

読書状況 いま読んでる

「愚か者の身分」の西尾潤の作品なので読んだ。自身の体験に基づくネットワークビジネス、つまりマルチ商法に関する小説。流石に作者の実体験に基づくだけあって描写がとても詳しい。へえ、こうやってランク上げたり人増やしたりするんだなって思うんだけど、こいつらの言ってる「ビジネス」って他の人誘うことだろ?仕事かこれ?アホなの?って思いは捨てられなかったな。興味深かった。

でも、まずマルチにハマってく主人公に全く共感出来ないのよね。特に光るところもハッとする描写もなかった。実体験からマルチを詳しく描いてる点だけが評価できた。愚か者シリーズと比べると物語としてはかなり劣るなあって印象。

そう言えば20代前半で付き合ってた子がマルチにハマって、上位のなになにさん凄い、今度会社でディズニーランド借り切るんだよ、とか言ってたのを思い出したわ。あのあと急速に疎遠になったけど、彼女は儲かったんだろうか。遠い日に思いを馳せた。

2026年1月31日

読書状況 読み終わった [2026年1月31日]

連作短編。警察小説なんだけど主人公が出世欲の強いノンキャリアの総務畑を歩いてきた警部で、左遷されるエピソードから始まるってのが異色でなかなか面白い。最初は自分を左遷した上役への復讐を目指すんだけど、所轄でさまざまな事件に遭遇して捜査などを経験し、まあ要は知らず知らずのうちに警官として再生していくところが描かれてるんだよね。それを本人が意識しないながら少しずつ感じていて、ラストでは直接の復讐は思いとどまるって構成。

それぞれの短編がコンパクトにミステリとして成立しててとてもうまい。読者にうまくヒントを散りばめて、あ、そういうことじゃない?って先に気づかせてくれるような作りに思えた。これが何度もあるので、単に俺の勘が鋭いだけではなさそう。なかなか面白かった。

2026年1月31日

読書状況 読み終わった [2026年1月31日]

78歳の婆さんが主人公なんだけど、なかなか痛快で面白かった。こんな風に老いるのはいいねって思った。婆さんのモノローグが突っ込みキレキレでめちゃくちゃ面白い。夫とも仲良くて隠居して悠々自適な生活から始まり、この話はどこへいくんだ?って思ったけど、途中で夫が死んで妾やその息子が登場してから話は俄然面白くなる。

そこで主人公は他人は他人、別の心臓を持った人間、って境地に達するんだけど、これは俺も共感できる。自分の人生は自分で決めるしかない。

ただね、この婆さんなんだかんだと恵まれてんのよ。働かなくても生きていける住まいがあり、近所には訪ねてきてくれる息子や娘、孫に囲まれててね。その対比としてひとりで力強く生きてる女性が妾として出てくるんだけど、まあ主人公恵まれてて、そこはどこまで共感集めるかな〜?ってのは思った。

2026年1月30日

読書状況 読み終わった [2026年1月30日]

うーん、続編も良かった!あのあとどうなったか気になる3人の後日談よりも先に無関係そうな探偵の話から始めてそのエピソードのラストで引き込むのがうまい。そしてマモルと梶谷それぞれの再生の物語に繋がっていくんだけど、単なる再生だけではなくて、過去に追いかけられる怖さや不穏さがうまく描かれてる。

そんな中、あ、それがタクヤならいいな、2人が出会えたらいいな、と読者は気づいてそれを祈る。それははっきりとは語られないが、ラストで2人の再会が予告されて終わるのは本当に美しい。この作家が大好きになったよ。前作があってこその続編だと思うし、前作からのつながりが素晴らしくて、これで星5にした。

しかし人というのは視力を失って3年ほどでひとりで外を出歩けるようになるものなのかな?そこは気になったけど人間の可能性としてはあり得るのかな。親戚に生まれながらの盲人がいるんだけど、彼女の世界がどうなってるか考えた頃をラストの描写で思い出した。面白かった。

2026年1月29日

読書状況 読み終わった [2026年1月29日]

Netflixで映画版を先に観て、とても印象に残ったので原作を読んでみた。映画は2時間の限られた時間しかないので、原作→映画よりも映画→原作の方ががっかりしないのかもな。

映画では描かれなかった人物の視点も含めた群像劇で、視界が広がりとても良かった。それぞれの視点にもミステリ的な要素があって、真実に迫っていく描写はスリリングだし、小道具や舞台の描写がスタイリッシュで現代的でありながら、貧困や無戸籍やさまざまな生い立ちみたいなテーマも扱ってた。

その中でも多分作者が言いたかったのは、真の悪と、悪ではないのに悪をすることでしか生きられない者たち、ということなのかな。そこに対してこの作品には明確な希望が込められていて、ともすれば絶望的な物語なのにそれだけにしていない力がある。

胸糞悪いエピソードの中で胸糞悪い物語にしていないところに魅力があるのではないか。もちろん現実の半グレに葛藤やそれしかできない理由などを見つけてあげる必要はないのだけれども、この物語はそこの解像度をほんの少し上げてくれた気がする。面白かった。

2026年1月29日

読書状況 読み終わった [2026年1月29日]
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