昨夜(4/17)は甘糟りり子さん主催のヨモウカフェ。
課題本はこの本でした。
いとうせいこうさんの本、腰を据えて読んだのが今回が初めてで、
普段は純文学やビジネス書、哲学を読む僕からすると、
久々の現代本で面白かったです。
2011年3月11日。あの忘れもしない大地震から2年がたって、
僕の中でも風化しつつある中で、こんな小説を読む機会が出来たことにまずは感謝です。
ラジオを想像で聞くという、この発想が斬新で、
いとうせいこうさん自身がtwitterでやられていたと聞いて、
そうだったのかと。
印象的な部分。「広島への原爆投下の時も、長崎の時も、
他の数多くの災害の折も、僕らは死者と手を携えて
前に進んできたんじゃないだろうか?しかし、いつからかこの国は
死者を抱きしめていることができなくなった。それはなぜか?」
「なぜか?」「声を聴かなくなったんだと思う」「・・・・・・」
まるで自分に言っているようなこの言葉。人間関係が希薄化している中で、
極力他人と関わり合いたくないという、瞬間はある。
でもあの大震災のあと、他人との関係が深まったこともあったのではないか?
ただ、日常を生きている僕には、やはり死者の声を聞こうとしていなかった。
怖かったのか?
それでも耳をすませば、本当にラジオの中から聞こえてきても不思議ではない。
あの地震がなければ、まだまだ長生きできていた老若男女は計り知れない。
彼らの声を聞く瞬間があってもいいのではないか?
本を読みながら、このような感想を抱きました。
生と死は紙一重というけれども、やはり生きていることを
幸福だと思うことが大事だと思う。そして亡くなった方々の分まで
精いっぱい生きていくことが、彼らに対してできることじゃないかな。
小説なのに、深く深く考えさせられた。
- 感想投稿日 : 2013年4月18日
- 読了日 : 2013年4月17日
- 本棚登録日 : 2013年4月18日
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