読書は格闘技

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本棚登録 : 584
レビュー : 58
著者 :
kyooosukeさん ビジネス   読み終わった 

書物や引用物を読む際には、データや文脈や時代背景を確認することが重要であることを説いた本。「自分の頭で考えて読書しましょう。」というメッセージ。また瀧本先生は、文学作品の抽象化に長けていること、インプットされている知識量が膨大であることを再認識した。

興味を惹いたのは、「正義」について。そもそも格差是正が是であるという前提などを疑っている。

・正義について
正義論(ロールズ)
組織を作る際、ヒトは自分の地位が有利になるよう仕組みを作るものである。しかし、「無知のベール(自分がどの立場になるか不明な状況)」の下では、「最悪のシナリオになった際に、最大の利潤を得られる仕組み(最悪の展開でも、まあ悪くないかと思える状況)」を選択する傾向にある。(ゲーム理論における「マキシミン原理」)
かくして、利己的な判断が全体で見ると利他的な組織(相手の気持ちを慮るという感情論でなく、自分の利潤を確保する勘定論なのに良い組織)が完成するはずであるという架空の設定における話。
→批判としては、前提としてなぜ国家を作る前提にあるのか。無知のベールおよびマキシミン原理が発動することに蓋然性があるのか。

アナーキー・国家・ユートピア(ノージック)
国家を成立させるにあたり、自己の利潤を最大化させる「万人の万人に対する闘争」状態ではないことを前提に、ヒト同士が自分の身を保証するための保証協会を作り始めるという仮説。これは「維持費は加入者数に比例しない上に、多くの人が入っている方が信頼度が増す」という規模のビジネスとなるため、大手が中小を食う&ユーザーが大手に乗り換えるため、いずれは1つの協会に統一される。そして、この協会によって守られていること以外は個人の自由であるというユートピアが完成するという話。アナーキーは無政府国家、ユートピアは桃源郷の意。
→個人の理性を信頼し、国家から取り返した正義を個人に託した型。前者の正義論は、仕組みを構成員の一致で決める方式なのに対し、後者は構成員に保証協会の選択権が生じるため、現実的であるという意見がある。

レビュー投稿日
2016年5月8日
読了日
2016年5月7日
本棚登録日
2016年5月7日
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