魔術探偵スラクサス

  • 早川書房 (2002年2月1日発売)
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本棚登録 : 59
感想 : 13
5

君主制と共和制が両立している時代。エルフや魔術師がいて、商人や暗殺師のギルドもある世界。
主な舞台は乱雑で治安の悪い下町。

とても好みの作風だった。
探偵が主人公のハイファンタジーは珍しい気がする。
その主人公が肥満気味で向上心皆無、うだつの上がらないオッサンなところがまた良いんだ!

些細な依頼が複雑な問題に発展し、二転三転して最後にはどんでん返し…小気味よい展開のミステリー。
ヤク中の情報屋にお堅い司教、背徳の魔術師、エルフにドラゴン、いろんな人に出会いつつ、時には剣と魔法で戦うファンタジー。
二つの要素がうまく融合していると思った。

娯楽小説っぽい要素があって読みやすかった。
エルフの赤布を狙う複数の団体が、互いの存在に気付かないまま一堂に会する場面は、完全なコメディーで笑ってしまった。

展開がやたらスピーディーだと思ったら、主人公の葛藤や成長が全然なかった。
登場人物の精神的苦悩とか社会的問題の解決とか、スラクサスはそういう問題を事実として語るだけで、自分からどうこうしようとは全く考えない。
彼の代わりに相棒のマクリが頑張っている(女性の地位向上のため、募金をしたり)。

マクリは自立した女性だし、スラクサスはある意味ブレないヤツなので、成長型主人公にモヤモヤする人に向いてるかも。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: さ行
感想投稿日 : 2011年3月20日
読了日 : -
本棚登録日 : 2011年1月31日

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