なんとなくオタクっぽくて、どうしても手が伸びなかった西尾維新。しかし映画化された『傷物語』を観て興奮。めっちゃオモロイやんか。ならばとまずはこの「戯言」シリーズの1作目を読んでみることに。しかしメフィスト賞の受賞作ってどれもこんなに分厚いのでしょうか。京極夏彦氏のおかげで(せいで)創設された賞ではありますから、分厚いのは致し方ないのかもしれません。これも京極さんよりは薄いけれども、550頁超。
財閥の令嬢でありながら、何をやらかしたのか絶海の孤島に送られたイリア。金なら唸るほどある彼女は、4人の忠実なメイドを雇い(そのうちの3人は三つ子)、暇つぶしに島に「天才」と言われる人々を招待する。このたび招かれたのは、天才画家、天才料理人、天才七愚人、天才占術師、天才技術屋の5名と、車椅子利用者である画家の付き添い1名と、強迫症により階段等の上がり下りをひとりではできない技術屋の付き添い1名。技術屋の付き添い=「ぼく」の一人称で展開されます。
まずは画家が首を斬られた死体となって発見され、アリバイがないことから第一容疑者とされた七愚人も同様に死亡。アガサ・クリスティの『そして誰もいなくなった』のごとく、次々に殺されていくのかと思いきや、この第二の殺人後に「ぼく」が推理、事件を解決に導くのでした。
もしも西尾作品の映画を1本も観たことがなければ、もっと戸惑っていたと思います。登場人物は男女どちらとも区別がつかないような名前ばかり。しかも喋ってもわからない。技術屋は自分のことを「僕様ちゃん」と呼ぶのですから、私は今までに読んだことがないような世界です。しかし読みづらくはなく、キャラがわかってくると愛おしくなってきたりもして。ミステリーの面白さも十分あります。最後の最後までドンデン返しがあり、ちょっとくどさは感じるものの、シリーズ2作目以降も早く読みたくなっている自分に気づくのでした。
- 感想投稿日 : 2017年4月28日
- 読了日 : 2017年4月28日
- 本棚登録日 : 2017年5月15日
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