西尾維新を読んだことがなかった私。映画『傷物語』を観たら意外にも面白くて、ものすごく興味が湧きました。本作は対談集で、その相手は小林賢太郎(パフォーミングアーティスト)、荒川弘(漫画家)、羽海野チカ(漫画家)、辻村深月(作家)、堀江敏幸(作家)の5人。各章の初めに、西尾維新がそれぞれに書き送った手紙が掲げられています。
いずれの対談も面白いのですが、対談の長さが微妙にちがう。面白さが尺に比例するというわけでもなく、それは読み手の興味によって変わると思われます。個人的にはその著書をよく読んでいる最後の2人との対談に興味を惹かれました。辻村深月とはタイトルの付け方や登場人物の名付け方で白熱。また、一見噛み合っていないかに見える堀江敏幸との対談では、文章を書くということにまつわる話に感じ入りました。羽海野チカとの話にも出てきたことですが、「どうしたら書(描)けますか」というような質問をしてくる人は、つまりはどうしたら苦労せずにかけるか、ちゃちゃっとかけるかを聞きたがっているけれど、そんなものはない。才能があってすぐにかけるように思われていても、かいてかいてかきまくったからこそ、売れっ子になれたのだということ。作品によって力の入れ具合を配分するような人は駄目なんだということを思い知らされた気がします。それがたとえ短い手紙であっても。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
既読(2016年)
- 感想投稿日 : 2017年4月27日
- 読了日 : 2017年4月27日
- 本棚登録日 : 2017年5月10日
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