単一民族神話の起源―「日本人」の自画像の系譜

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著者 :
lacuoさん 社会   読み終わった 

大日本帝国は単一民族の国家でもなく、民族主義の国でもない…我々の遠い祖先が或はツングウスであり、蒙古人であり、インドネシア人であり、ネグリイトであることも学者の等しく承認しているところであるし・・・・
     1942年 総合雑誌

日本民族はもともと単一民族として成立したものではない。
     1942年 文部省社会教育局
p3

1895年に台湾を、1910年に朝鮮を併合
総人口の3割におよぶ非日系人が臣民として大日本帝国に包含されていた。

一億火の玉の「一億」は、朝鮮や台湾を含めた帝国の総人口であり
p4

国際法学者 大沼保昭
『単一民族社会の神話を越えて』
①江戸時代には藩や村の一員という意識はあっても「日本人」という意識はなかった。そういう意識は、明治維新以後のもの。
②日本民族の誕生そのものがユーラシア大陸と南方の島々の種族の移住、混血、雑婚の産物
p6

不特定多数の意識を研究したものとして、ウェーバーの『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』を例に、社会学と歴史学のアプローチのちがいを述べたい。
p9

本書は、社会学者からみれば細かすぎ、歴史学者や思想史家には大風呂敷の空論にみえるかもしれない。
だが、アメリカ社会学会長でもあったI・ウォーラーステインの世界システム論、E・サイードのオリエンタリズムなど、分野をこえて評価をうけているものは多数ある。
p12

ジュール・ヴェルヌ『八十日間世界一周』日本人は顔色も容貌も多様である。
ブルーノ・タウトの日記にも、日本人がきわめて多様な容貌の集合体と書かれている。
p23

日本の多くの論者が混合民族論を受け入れたのも、家族制度における血糖のあいまいさと無関係ではないかもしれない。そこでは、イエとしての祖先が連続しているかぎり、血統は二次的である。系譜の長さを誇る名家でも、祖先に養子が入っていることは家計の傷にならない。祖先の評価基準は、血統よりも、どれだけイエに貢献したかである。
p382

本書の結論はいたって単純だ。神話に対抗するためには、神話から脱却すること。
・・・・
異なる者と共存するのに、神話は必要ない。必要なのは、すこしばかりの強さと、叡智である。
p404



本書は、著者が1994年に提出した修士論文。
p449

レビュー投稿日
2016年4月7日
読了日
2016年4月7日
本棚登録日
2016年4月7日
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