あの頃映画 「蒲田行進曲」 [DVD]

監督 : 深作欣二 
出演 : 松坂慶子  風間杜夫  平田満  千葉真一  真田広之  志穂美悦子 
  • SHOCHIKU Co.,Ltd.(SH)(D)
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感想 : 9
5

宝塚バージョンを見て、興味があって。

話の流れは知ってるのに、場面場面に勢いがあるし、ドラマがあるから、引き込まれて見てしまう。
キャラクター自体がいいのと、役者さんの熱演ぶりもすごいからなんだろうな。

銀ちゃん、小夏、ヤスは、究極の三角関係なんじゃないかと思う。
銀ちゃんとヤスは親分子分で、ヤスはもともと小夏に憧れてて、っていう。
ヤスに見てろと命令して、二人で愛し合うとか濃密だし。
小夏が銀ちゃんの子どもを宿してるっていうのも効いてて、それはどうしようもなくて、小夏とヤスの距離が縮まれば、それがネックになって、二人はケンカしてしまったり。
「わたしたち、やっぱりダメだったの?」の小夏の言葉が哀しくて。
他の作品でこれ以上の三角関係はないだろうってくらいに。
タッチは三角関係でも、かっちゃんは死んでしまうし。

大部屋俳優の悲哀というのもあるらしい。
大部屋は一生大部屋、ヤスは小夏との生活のために、危険なことをやらざるをえない。
それを尻目に、銀ちゃんは派手に遊び歩き。
苦々しくも思うだろうに、ヤスにとっては銀ちゃんはカッコよくて。
恋愛のライバルであり、友情もある関係っていうのが面白い。

銀ちゃんも勝手で、落ち目になってさみしくなれば、小夏を手放したのを後悔して、結婚相手は俺だーと叫んだり。
「今さらそんなこと言わないでよ。わたし今でも銀ちゃんのこと好きよ。でも、ヤスさんのこと好きになりかけてるの。……それに、女はね、いつでもそばにいてくれる人のほうがいいのよ」と小夏は決別。
銀ちゃんはわがままそうにみえて、根は優しいのかそれ以上は追いかけず、黙ってそれを受け入れる、そこがドラマだなぁと思う。

それから、終盤になると、小夏の予定日が近づき、今日にでも陣痛が、というときに、ヤスの階段落ちの撮影になる。
こうなると、妊婦のお腹は時限爆弾、出産が先か階段落ちが先かというハラハラが、クライマックスを盛り上げてて。
病院へ行くシーン、病室を抜けるシーン、雪降る中撮影所の外で見守るシーン、それぞれに緊迫感があり。
素晴らしいなぁと思う。

ホント、どの場面にも、濃密なドラマ性があり、エンタメ性が高い、素晴らしい映画だと思います。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 映画
感想投稿日 : 2012年10月8日
読了日 : 2012年10月8日
本棚登録日 : 2012年10月8日

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