「やっぱ、日曜日に眼鏡をかけるっていうのは、どうもなぁ…イギリス人じゃないんだから」
『鴨がネギを背負ってるどころか、出汁に浸かって火まで点けて待っている状態だ。これを逃す手はない。』
「どっか影があるっていうか…女性は影があったほうが魅力的だって言うけどね」
「すいませんね。影がなくて」
「あ、いやいや…君に影がないからといって、責めてるわけじゃないよ」
「ここを真っ直ぐ行って、上手にフレームインして、最初の信号をキューにして、下手の大きなビルなめに、少し食われた感のある小さなビルから、ショットのアオリで、三階をバミって下さい」
「バレてしまった罪より、バレなかった罪は、一生を懸けて償わなきゃいけないんだよ。君たちもそうなりたいの? …バレるから罪じゃない。バレない罪こそ、背負う罪なんだよ」
「一本十五円のバナナって、それいつの話ですか?」
「っつーか、哀れになるね。サンマ買おうと思ったら三十円足りないって…」
「子供でしょ…魚屋さんもそのくらい、まけてあげればいいんですよね」
「意外と、ヒゲボウボウのおっさんかもしれませんよ。四十がらみの」
「でも、"太郎くん"ですよ。くん付けですよ? 子供でしょう」
「七十歳くらいの視点から見た問題かもよ」
「ああ、七十歳から見ればねぇ…」
「そっか、四十がらみなんか、まだまだ子供ですね」
「ねぇ、リチャード…なんでイギリスの人は、日曜日に眼鏡をかけるの?」
「だって、日曜日にかけとけば、月曜日にかけなくて済むでしょう?」
「あ〜、そういうことだったんですかぁ」
「なるほど〜、やっと謎が解けましたわ」
「いやいやいやいや…」
「世間的には、もうすぐ春だけどね、ヤクザには春が来ないのよ…やっぱ、春売らせてるから春が来ないのかね。どう思う?」
「いや、本物ですよ」
「疑いは、信頼の燃料だよ」
「説得されませんよ…で?」
- 感想投稿日 : 2018年6月30日
- 読了日 : 2018年6月30日
- 本棚登録日 : 2018年6月30日
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