実は、かなーり期待していた一冊。文体は衒学的で、勿体ぶったところがどーもわかりにくい(翻訳者のせいではない)。オリジナルは英語による博論を基にしたもの(“Hiroshima Traces: Time, Space and the Dialectics of Memory”)。廣島/広島/ヒロシマ、という変遷自体にポリティクスがある、という点は納得。かつての軍都から、普遍化された平和の象徴都市へ、という国家戦略と、集合化(国民化)された記憶/個人の記憶、の乖離と対立、戦略…そのポリティクスには頷けるところがあるが、個人的に期待が大き過ぎたよう。悪くはないし、納得したり、感心したりもするけれど、「文化研究」的な言い回しはやっぱりどうも乗り切れない…。とはいえ、力作であることには納得。難しいところだけれど、★としては3〜4の間。
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カテゴリ:
社会
- 感想投稿日 : 2006年10月2日
- 本棚登録日 : 2006年10月2日
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