まず、こんな小説が書き上げられるということに、ただ驚愕するばかりである。龍氏本人も、この小説の構想を思いついたとき、書くのは無理なのではないかと思ったと、後書きで語っている。
それだけテーマが突拍子もなく、また北朝鮮というヴェールに包まれた国の中枢の実態を把握するために、北朝鮮に関連する書籍を片っ端から読んだそうだ。
北朝鮮のコマンドが日本の主要な拠点を占拠するという冒頭のストーリーは、フィクションと捉えていい。しかし、その後彼ら北朝鮮のコマンドの行動に対する日本政府の決断力の無さと日和ったリアクションは、まさに現在のそれを象徴している。
最後は意外な形で事態が終息するのだが、そこは物語の面白さであって、日本の希望を筆者がそこに託しているとは思えない。
本書に通底する重要なテーマは、あくまでも不測の事態に直面した時にまずやらなければならならい、優先順位の決定と迅速な実行、リスクへの対応、それらができない組織に未来はないということだ。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2013年1月22日
- 読了日 : 2013年1月22日
- 本棚登録日 : 2013年1月22日
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