キングとジョーカー (扶桑社ミステリー テ 9-1)

  • 扶桑社 (2006年11月1日発売)
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本棚登録 : 79
感想 : 10
4

早世したクラレンス公がもし生き延びていたら…? から枝分かれしたパラレル英国王室を舞台にしたミステリ。
この「パラレル英国王室」が、とてつもなくよく書けている。「カッコー時計をいじったホーコン王」なんて名前が唐突に出てくるのだが、これは史実においてもクラレンス公の妹婿であるノルウェー国王を踏まえたものだろう。こんな感じの「くすぐり」が随所にあって、王室好きにはたまらない。不敬罪に引っかからずに王室を書くには、この手があったか! という感じ。
メインのネタは比較的小粒なのだが(それでもちゃんと? 人死には出る)、ミステリ的な「謎(と伏線)の提示」と「解決」はパラレル王室関連にもふんだんにあり、飽きさせない。突飛だが緻密な舞台立てに、青春小説としても読めるほどに充実したキャラクター。傑作である。
願わくは、近代英国王室に関して最低限の知識を仕入れた上で…とまでは言わずとも、wikipediaのページを開きながら読んでいただけたなら、面白さは二乗三乗となるはずだ。

2013/12/16〜12/18読了

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ミステリ&サスペンス
感想投稿日 : 2013年12月18日
読了日 : 2013年12月18日
本棚登録日 : 2013年12月18日

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