パイナップルの彼方 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA (2022年1月21日発売)
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本棚登録 : 760
感想 : 50
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山本文緒さん作品のジャケ買いならぬタイトル借りの一冊。主人公の深文がつき合っている天堂に電話する際に、寮にある1本の電話にかけて呼び出してもらう箇所を読み懐かしく感じた。本作は1992年作だが、スマホもない時代に書かれた内容は30年後の現在にも通じる。
早世された今となっては、本作のあとがきに添えられた山本さんの言葉の方がぐっと入って来た。
『今なら分ることが沢山ある。私は何から逃げだしたかったのか。それは、十代の私が漠然と思い描いていた未来から逃げだしたかったのだ。予想どおりの大学に進学し、予想どおりの企業に就職し、予想どおりの相手と結婚して子供を生み、予想どおりに年老いて死んでいく。思ったとおりに物事が進んで行き、一生そこから出られないことを私は恐怖していたように思う』
『ハワイ、という場所は象徴でしかなく、それはウィーンでも北京でもどこでもよかったのかもしれない。育ってしまった国の、自然と身についてしまった価値観、ちょっと気を抜くと襲ってくる実体のない圧力や、細かくてくだらない、でも守らないと人々から浮いてしまう沢山のルール、そういうものから私は逃れたかったのだと思う』

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2023年2月16日
読了日 : 2023年2月16日
本棚登録日 : 2023年2月16日

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