氷点(下) (角川文庫 み 5-4)

著者 :
  • KADOKAWA (1982年2月2日発売)
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本棚登録 : 2657
感想 : 186
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圧巻の三浦綾子。ドロドロなんて言葉では言い表せない。人間が誰しも持っている醜さ、底意地の悪さ、そういうものも原罪と呼ぶのかもしれない。もし自分が氷点の世界にいたら何ができただろう?何を信じ誰を信じていただろう?人間なんて信用ならないもの無垢に信じていた陽子を誰が救えただろうか。
信じあっていた人たちが実は全員騙し合っていた、その結果何の罪もないのに罰をを受けたのは陽子ただ一人だった。啓造や夏枝の尋常ならざる汚さにはうんざりするけれど、人間だれもが何かのきっかけさえあれば心に巣食うかもしれない感情たちを目の当たりにして恐ろしくなった。「私ならこんなことしない」と言える人は幸せ者だ。やっぱり三浦綾子はすごいな。もっとこういう本を読まなければいけない。続氷点、読みます。
氷点の意味を知ったとき、心が凍るような陽子の様が手に取るように伝わった。なんという冷たく悲しいタイトルなんだろう。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 三浦綾子
感想投稿日 : 2017年3月14日
読了日 : 2017年3月14日
本棚登録日 : 2017年3月14日

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