苔が好きです。苔玉を育てたり、寺社の苔に注目したりしています。
周りにも苔好きはちらほら。意外にファンは多そうです。
ただ、好きとはいっても詳しいことは全く分からないため、読んでみた本。
専門的なものなら読みづらそうだと思いましたが、サブタイトルに惹かれて、これならおもしろそうだと手に取りました。
著者は農学博士ですが、やはり苔好きらしく、ファンの視点に立った紹介の仕方をしてくれている、よみやすい内容となっています。
苔が気になりすぎて、いつしか海苔という文字が「うみ-ごけ」と読めてしまうのは苔愛好家の王道だと書かれていて、楽しくなりました。
世界にあるさまざまな庭園の中で、日本の苔庭のように苔を景観の一部として使う庭文化はないそうです。
つまり、苔庭は日本独自のものなんですね。
今では海外にもファンがいるそうですが、やはり日本庭園に取り入れられているそう。
つまり苔庭は和のイメージを伝えるものとなっています。
もともとは京都の庭園文化から発展した苔庭。
苔は、少しじめっとしたところになら生えるものかと思っていましたが、それほど簡単には育たないようです。
①暑すぎず、寒すぎず、②京都文化が伝わりやすく、③開発されすぎておらず、④霜柱があまりない場所、という大きな4条件がそろった場所に生えるのだそう。
思ったよりも手入れが必要のようです。
また、土の上に生える苔は、冬に霜柱が大きくなると、持ち上げられてはがれてしまいます。
火山灰がもとになってできた土壌の関東地方では、霜柱が発達しやすく、苔の管理が難しいそうです。
上記4条件をすべてクリアしているのは北陸地方。苔に適した気候だそうです。
また苔は、寺社によく見られることから、静かな幽玄のイメージが伴います。
音の吸引力が高く、実際に静寂を作り出す効果があるのだそうです。
全国の苔庭が紹介されていました。
まずは苔寺として知られる京都の西芳寺。
鎌倉では、長寿寺と妙法寺。
京都では野宮神社や祇王寺、三千院のような、じゅうたんタイプの苔庭が好きです。
野宮神社の苔はシラガゴケ類やコバノチョウチンゴケで被われているそうです。
福井の平泉時白山神社を訪れた時にも、参道の苔の美しさがとても印象的で、なんまいも写真を撮りました。
「北陸の苔寺」と呼ばれているそうです。
石川県小松の苔の里も気になりました。
これまで、理科の授業で習ったスギゴケとゼニゴケくらいしか知りませんでしたが、自分が好きなのはふっくらとしたヒノキゴケだとわかりました。
少し知識がついたため、これからは苔を見る時に一層楽しめそうです。
- 感想投稿日 : 2016年2月10日
- 読了日 : 2016年2月10日
- 本棚登録日 : 2016年2月10日
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