修験道の本 神と仏が融合する山界曼荼羅 (ブックス・エソテリカ 8)

  • 学習研究社 (1993年1月1日発売)
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本棚登録 : 86
感想 : 5

山伏には興味があるものの、修験道に関してはほとんど知識がありません。
彼らは仏教なのか、神道なのか、それさえもわかりませんでしたが、この本は初心者にもわかりやすく、そして網羅的に書いてあるため、入門書として読みやすく学べました。
修験道は神仏習合だったため、明治期には解散を強いられるという激動も歴史があったことを知りました。
禁止されても滅亡することはなく、現在でも修行に励む人々は多いとのこと。

その歴史はかなり複雑で、曖昧模糊としています。
それは、忍者と同じで、秘密裏のうちに行われる行だからでしょう。

日本の険しい山はたいていが霊峰で、神が祀られているということを改めて認識します。
そしてそこには、修行に励む修験者たちがいることも。
日本のように、山に「浄土」と「賽の河原」と「地獄」、つまり全ての世界があるとする国は、他の仏教国のインドや中国、ほかの国々にもないのだそうです。

甘えの許されない極限状態で、道を究めようとする人々。
読んでいて息詰まる思いがしました。
忍者との共通性も多いようですが、どちらにしても秘密伝承の中に生きる人々なので、あまり具体的な資料が残されていないとのこと。

山岳信仰は天狗信仰にもつながりますが、これは平安朝に修験者や陰陽師が広めたものだとのこと。
天狗の定義がいまだによくわからないままです。

木仏を掘りつづけた僧侶、木喰が最近脚光を浴びていますが、木喰とは彼固有の名前ではなく、広く木の実や果実のみを食して修行する僧のことを指すこと、彼の名前は木喰五行明満ということを知りました。
千体仏造像を発願して55歳で全国行脚を開始し、93歳まで全国を巡り歩いたそうです。

即成仏とはミイラのことで、真言宗であがめられているということも知りました。
自己をとことんまで追い詰め、鍛えて人並はずれた霊力を身につけようとする厳しい修行の様子を知りました。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 宗教全般
感想投稿日 : 2013年5月14日
読了日 : 2013年5月14日
本棚登録日 : 2013年5月14日

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