獣の奏者(4) (シリウスKC)

  • 講談社 (2011年4月8日発売)
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本棚登録 : 260
感想 : 9

獣の奏者・コミック版。今年発刊のまだ新しい本ですが、原作ではもうエリンの少女時代は過ぎてしまっているため、アルバムをめくり返すようななつかしい気持ちで読みました。
もはやわかっているストーリーながら、原作の挿絵も手掛けるこの人の絵で作品世界を想像しながら読んでいるため、実際にコミックになったものを目にすると、また一層たちのぼる世界観にひたることができます。

エリン達の努力が実を結んで、衰弱する一方のリランがようやく警戒を解き、初めて餌を食べるシーンには、感動して目の奥がじんわり熱くなりました。
この巻のエリンは、ほがらかで笑顔も多くなり、親友ユーヤンとの息の合ったコンビ仲を見せてくれています。
年相応の子供らしさが見えて、なんだかほっとします。
初めてギャグシーンが合ったことに、驚きました。

リランの飼育役のトムラも、原作ではもっと鬱々としてとげとげしい印象ですが、絵で見るとさわやかです。
コミックになると、内面の吐露が少なくなる分、絵で読んだ方が、文章よりも暗くはなりすぎないのでしょう。

巻末に、彼女と原作者とのQ&Aコーナーが掲載されていました。
たっぷり10問ほどもあり、読者と重なる疑問も多かったため、興味深く読みました。

イアルは、エリンと出会ってから、生活に色がつき始めた、という原作者の表現に、なるほどと思います。
彼の顔が一番決めにくかったというのが意外でしたが、隠し持つ武器のように、何の外見的特徴も見せなくも鋭く鍛え上げられている王のボディーガードという設定は、たしかに絵にしにくいものでしょう。

この作品は「月刊少年シリウス」で掲載されているそうです。
少年誌なのね、と多少驚きました。外伝はともかく、本編ではほとんど愛や恋の話が出ないので、少女マンガ向きではないのでしょうか。
読んでいる男性の感想も聞きたいところです。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 日本文学
感想投稿日 : 2011年11月7日
読了日 : 2011年11月7日
本棚登録日 : 2011年11月7日

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