始皇帝 中華統一の思想 『キングダム』で解く中国大陸の謎 (集英社新書)

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レビュー : 24
著者 :
リカさん 歴史   読み終わった 

キングダムは、フィクションのマンガですが、ベースになっているのは古代中国史の史実。そこを理解することで、物語の一層の理解がのぞめます。

中国の歴代帝国がこれまで広大なエリアを、何度も統一し支配することができたのは、2200年前の初の統一帝国・秦国の統治方法があまりに強力だったため。

どうも私たちは、統一国家が理想だと思う傾向がありますが、決してそういうわけではなかったということがわかります。

戦国七勇のうち、統一国家を目指していたのは秦一国のみ。ほかの六国は「七国同盟」を希望しますが、結局秦に滅ぼされてしまいました。
「七国同盟」は、今でいうEUのようなもので、個々の秩序が保たれます。どちらがいいのかというのは見方次第。現に、現在の中国は巨大すぎるあまり、支配力を低下させないため、ネットワークの自由が制限されているという不自然な状態にあります。

どうして西の辺境にあった秦が最終的に最大の力を得たのか、後の中国統一のために始皇帝が敷いた施策とは何か、統一を成し遂げた秦が15年後に完全に崩壊してしまったのはなぜか、など、気になるトピックが根拠と共に語られ、歴史欲を満たしてくれます。

始皇帝が不老不死の霊薬を求めたのは、単に自分が生きながらえるためだと思っていましたが、秦という統一国家を維持するためにどうしても必要だったという意見が目からウロコでした。

タイトル通りの満足のいく内容。
歴史学者の著者が読んでも、マンガ『キングダム』は当時の社会がよく調べ上げられているとのこと。登場人物やドラマはフィクションが多くても、ベースとなっている社会については学ぶことができそうです。

主要登場人物の大半が実在した人物であるため、想像も膨らみます。
漫画や地図も挿入されて、理解しやすい構成。

「奇貨おくべし」「符合する」などの言葉の由来がこの辺りにあったことも知りました。「お姫様」という言葉までそうだったとは。

まだ本編は掲載途中ですが、こちらでは秦の滅亡と、その後の国家のことも言及されています。
キングダムに留まらず、中国史を知りたい人も楽しめるでしょう。

漫画を読んでいる時には気づきませんでしたが、当時の国々の話す言葉は方言ではなく外国語レベルで全く異なっていたそうです。
始皇帝が文字の統一を徹底したことが、今の中国の統一にもつながっているというのは、全く持って頷けることです。
2200年前のこととは思えない彼の施策と支配力に改めて驚嘆しました。

レビュー投稿日
2020年9月14日
読了日
2020年9月14日
本棚登録日
2020年9月14日
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