<あらすじ>
「僕のクォ・バディス」(1981)進藤次郎は七年つきあった恋人と別れ、会社も辞めて故郷へ十年ぶりに帰ってきた。「ぼくの中には〈鳥〉がいる」。退職したのも、今回の帰郷も、自分の中の〈鳥〉の声に従ったのだった。ふるさとは随分と変わっていたが、白鳥の飛来する塔野沼は昔のままだった。
「野餓鬼のいた村」(1982)心を閉ざしてしまった娘の療養のため、〈浦〉へやってきた母娘。植物や動物と会話をする娘は〈浦〉に来てからすっかり快活になり、村の老人たちにも受け入れられていった。そんな我が子を見守りながら、母親はなぜか〈浦〉を好きになれなかった。
「夢の壁」(1982)『夢の壁』(文庫)参照。
<ひとことコメント>
「野餓鬼のいた村」の続編にあたるのが「夢の子供」(『夢の子供たち』収録)です。この著者の作品を読むと、日常から徐々に浮遊するように逸脱し、最後につきはなされるような感覚に陥ります。これが快感なんですけど。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
加藤幸子(KATO, Yukiko)
- 感想投稿日 : 2011年6月18日
- 読了日 : 2003年9月7日
- 本棚登録日 : 2011年6月18日
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