辞書を編む (光文社新書)

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著者 :
littlebambさん  未設定  読み終わった 

国語辞典編集の作業を紹介したエッセイ。
章タイトルに沿ってざっと見れば「辞書の方針を決める→用例を集める→どれを載せるか決める→説明文を書く→既に載っている言葉を手入れする」となる。
用例を採集し、そこから普遍的な語義と呼べるものを抽出する営みは、データや標本を集めて理論につなげる自然科学と似通っている。扱う相手が違っても、やっていることは同じくサイエンスなのだ。
以前、著者の飯間氏がTwitterで「『乱れた使い方』を厳しく指摘することを私に期待する人がいるが、そういうことはしない」といった趣旨のことを言っていた。サイエンスという立場から考えれば当たり前のこと。変わった虫を捕まえたら喜び、新しい知識体系を紡ごうとするのが研究者であって、あるべき理論に沿わないからとその虫を潰すのは研究者ではないだろう。
最終章で電子辞書やWikipediaにも言及がある。自分としては編集そのものより、用例採集について、ネットは革新を起こしうるのではないかと思う。イメージとしては星や鳥について、全国の愛好家から寄せられた観察データを専門家が活用できるような。
それにしても、ことばをことばで説明するという行為は奥深い。手元の辞書の語釈をしみじみ熟読してみたくなる。

p230で、各社国語辞典の特色を比較。使い分けに役立ちそう。
・そのことばが正しいか間違いか:岩波国語辞典、明鏡国語辞典
・そのことばがいつ頃から使われているか:新潮現代国語辞典
・そのことばがいつ頃から使われているか(明治以前も):新潮国語辞典、広辞苑、大辞林、大辞泉、日本国語大辞典
・そのことばについて、その辞書なりの解釈を知りたい:新明解国語辞典
・そのことばが、今、広く使われているかどうか:三省堂国語辞典

レビュー投稿日
2019年6月15日
読了日
2019年6月3日
本棚登録日
2014年8月28日
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