新版 女興行師 吉本せい: 浪花演藝史譚 (ちくま文庫)

著者 :
  • 筑摩書房 (2017年9月6日発売)
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感想 : 7

吉本興行の創業者、吉本せいの一代記。
せいの生涯全体については[ https://booklog.jp/item/1/4106108453 ]の方がまとまっているが、個別の芸人や演芸について掘り下げて書かれていることで、上方演芸の動向を知ることができる。
・伝統的な桂派・三友派に対する岡田反対派の対立。吉本は当初反対派との結びつきを強くしつつ、寄席の多角経営を進めた。
・破天荒な生き方で世間を驚かせた桂春団治。
・漫才はもともと歌う芸の「万歳」で、寄席においては色物として落語より低い扱いをされていた。吉本夫妻と異なり、芸自体に造詣の深くない林正之助は落語家に押さえが利きにくいため万歳に目をかけ、昭和2(1927)年に一流寄席の弁天座で万歳だけの会を行った。
・エンタツ・アチャコのコンビ結成が昭和6年。洋装で歌でなくおしゃべりを中心にした芸により新しい小市民層をつかみ、漫才が隆盛していく。
・昭和初期に活躍した小春団治。漫才に押されつつある落語界で、新作落語で人気を博した。しかし吉本と対立して大阪を追われた。本名の林龍男で高座に上がったり文筆活動をしていたが、花柳芳兵衛の名で舞踊家となり、吉本と和解した。吉本の落語への決別を象徴する出来事。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2020年8月9日
読了日 : 2020年8月2日
本棚登録日 : 2020年7月30日

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