龍樹(ナーガールジュナ)が唱えたいわゆる「空論」についての解説書。
龍樹以降の註解書を参照しながら、「空」とは何か、また、何でないかを、ていねいに説明している。龍樹が著した「中論」や、その他の著作も収める。
とりわけ、あらゆるものごとが実在すると説く「説一切有部(せついっさいうぶ)」への批判は見物。
一切は「相互依存の関係」(縁起)にあり、「有」でも「無」でもなく、「中道」であり、しかもそう説きながら、そういった定義に執着してはならず、本来は言語化できない「空」の考え方を、否定辞を重ねながら示していく。
スリリングで、興味深い一書。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
哲学
- 感想投稿日 : 2012年6月5日
- 読了日 : 2012年6月4日
- 本棚登録日 : 2012年3月28日
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