沈黙を破る: 元イスラエル軍将兵が語る“占領”

著者 :
  • 岩波書店 (2008年5月9日発売)
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感想 : 10
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土井敏邦さんの同タイトルのドキュメンタリー映画を観たときの衝撃があまりに大きく、もういちどきちんと消化しようと思って、手にとってみた本。
「沈黙を破る(Breaking the Silence)」とは、他の人々を武力で占領するとはどういうことなのか、自らの経験を語ろうと決めた元戦闘兵士・将校のグループだ。元兵士といっても、イスラエルは18歳から兵役があるので、まだ20代前半。日本でいえば大学を出たてくらいの、やさしい目をした若者たちである。その彼らが、「ある日、鏡の中の自分を見たら角が生えていた。自分は怪物になってしまった」と、目に苦渋を浮かべて語るという事実に圧倒される。
「自分は占領地で権力をふるうことを楽しんでいた。それは誰か他人だと思いたいが、紛れもない自分なのだ」「他人のニーズに無関心になる、そのような意味でも、自分は暴力的になってしまった」。その自己分析を読むのはあまりにつらい。彼らはイスラエル社会の血塗られた拳としての身体をもって、占領がもたらすものをもっとも深い意味で問いかける存在だ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 歴史と社会
感想投稿日 : 2011年5月26日
読了日 : 2011年5月26日
本棚登録日 : 2011年5月26日

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