さよなら、韓流

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本棚登録 : 70
レビュー : 10
著者 :
lonesinkerさん エッセイ   読み終わった 

韓ドラは「チャングム」くらいしか観てないので、「韓流はエロだ!」っていうテーゼについては私、一緒に盛りあがれないどころか判断もつきかねるわけですが。でも、世界中で盛りあがってた江南スタイルに対する頑なな無視だとか、紅白に韓流は出さないとか、女性を中心に強い支持があったにもかかわらず韓流ブームを終わらせようとした日本社会の、正体が見えない圧力の気持ち悪さは、すっごくよくわかる。「慰安婦」問題をやってて叩かれるのはもう慣れっこだけど、韓流スターを追いかけてて叩かれるなんて、ほんとにこの国は、いったいどうなっちゃったのだろう。この国の男たちに何が起きてるんだろう。本としては、ややまとまりがないのは事実だけど、この違和感や不安感を声にするというその行為で、北原さんはまさに重要な役割を果たしている。
私はこの本を読みながら、アメリカのフェミニスト研究者、シンシア・エンローさんが語った言葉を思い出していた。社会を軍事化するには、男らしさと女らしさそれぞれに操作が必要だということ。「兵士には慰安婦が必要なことは誰にだってわかる。風俗をもっと活用すればいい」と言った橋下徹の発言は、韓流スターに熱くなっていた女性たちに水をかけることと対の関係にあったのだということがみえてくる。軍事化には、ある種の男らしさで規定されるセクシュアリティの特権化がともなう、と言い換えてもいいのかもしれない。もしかして後年ふりかえったときに重要な潮目の変化をしるしていたかもしれない時代の一側面に関する貴重な証言。これをきちんと受け止めて、いっそうの分析につなげていく必要を感じる。流れに掉さすために。

レビュー投稿日
2013年12月27日
読了日
2013年12月23日
本棚登録日
2013年12月26日
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