Mr.トルネード 藤田哲也 世界の空を救った男

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レビュー : 22
著者 :
ルーさん ノンフィクション   読み終わった 

 著者はNHKのディレクター。NHKのテレビ番組『ケンボー先生と山田先生~辞書に人生を捧げた二人の男~』の取材をもとに書かれた『辞書になった男』がたいへんおもしろかった。同様に本書も先にテレビ番組『Mr.トルネードから気象学で世界を救った男~』が先行していて、その取材をもとに書かれたものだ。
 竜巻という自然現象の発生が北米に集中していることから日本では知名度がないが、藤田哲也博士はアメリカでは気象学の分野で非常に有名だということだ。著者はその姿を立体的に描くために、日米に散らばる関係者の多くにていねいに取材している。「理論家」というより「観察者」だったという藤田博士の姿勢につながるかのようだ。
 幼少時のエピソードがおもしろい。中学三年のとき学校のイベントで、江戸時代に和尚がノミと槌だけで掘ったトンネルで有名な大分県の「青の洞門」を訪れた。感想文としてクラスメイトが「和尚はすごいことをしました。見習うべきです」とか書いているなかで、「自分なら道具を作ってから穴を掘る、そうすればトンネルと道具の両方を残すことができる」と書いたという。藤田は研究に使う道具を自分の手作りで作ることで有名だったそうである。
 航空機が着陸時に急に制御を失い墜落してしまう現象。その原因は、藤田が発見し「ダウンバースト」と名付けた、地表近くに局所的に発生する強い下降気流だった。藤田がその存在を信じることができたのは、長崎に落とされた原子爆弾の調査にあったという挿話も興味深い。
 藤田のおかげで、以前は「1年半に1回」起こっていたという墜落事故が、劇的に少なくなったという。そのことは今後飛行機にのるたびに、思い出すことだろう。

レビュー投稿日
2017年10月15日
読了日
2017年10月15日
本棚登録日
2017年10月15日
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