ケータイ小説的。――“再ヤンキー化”時代の少女たち

著者 :
  • 原書房 (2008年6月9日発売)
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本棚登録 : 314
感想 : 41
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・「こどものもうそう」からぽちっとした。米光さんの紹介はいつも上手だなぁ。タイトルを見たときは、別に「ケータイ小説」に興味ないし……と思っていたのに。

・タイトルについて。「。」が最後についているのはなんでだろう? 「モーニング娘。」的なただのかっこつけ?
いやいや「ケータイ小説的ななにか」について書いているのではなく、「携帯小説的であること」そのものについて批評するんだよ、という意志と態度を「。」に込めたんだろうな、と読んでから思った。

・少女たちの文化と生態をケータイ小説から読み解いてみる……という惹句も。この評論は「ケータイ小説」について語る本ではなく、「現代の若者の生き方が端的に表れているメディア」として「ケータイ小説」は読めるのだということが書いてある。ケータイ小説についての本じゃなくて、軸足は若者論つーことで。

・で……なんか突然出てきたかのように見えるケータイ小説だけれども、もちろんケータイ小説は孤島じゃなくて、いろんなものとの接続から成り立っているんだってことが書いてある(…ということは「こどものもうそう」を読んでいるよい子にはわかるのだ、もちろん言及あり)。例えば直接には浜崎あゆみであり、その浜崎あゆみはどっから影響を受けているかというと『ホットロード』(紡木たく)であったり『ティーンズロード』(雑誌)の投稿欄だったり。つまるところケータイ小説の文化的背景は「ヤンキー文化」にあるのだ、という指摘がまずは新鮮。

・で、その類似点を指摘するだけじゃなくて、そっから話は現代における「ヤンキー文化」の受容・継承と「地方」というキーワードについて話は発展していく。

・ケータイが恋愛を変えた」という章。DVというと「ドメスティック・バイオレンス」だからして家庭内暴力なわけだが、現代では「デートDV」という「恋人間の暴力」というのが増加中であるらしい。そしてその原因はケータイの普及にある。というところから、AC(アダルトチル)、「ケータイ小説」や『NANA』に見られる「やさしい関係」へと論は進んでいる。

・ケータイ小説が出てきた当初、『だからあなたも生き抜いて』とか『プラトニック・ラブ』とかの「トラウマ語り」が大流行していたという指摘は興味深い。トラウマ語りはその当時に限らず、いつでも人気だったと思うのでちーとばかし留保をつけたい気持ちもあるのだけれど。AC論そのものが、かなりあばうとで検証不能なところがあるので、そこに突っ込みすぎるとツライ……と思うけど、そこは比較的さらりとしてるので、拒否感までは。

・ん~。対談、という形式は実りが少ない気がして好きじゃないんだけど、この著者とおもしろい組み合わせはあるんじゃないかなぁ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 批評
感想投稿日 : 2014年3月29日
読了日 : 2008年9月20日
本棚登録日 : 2013年5月19日

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