
「ドナドナ」で連れ去られる仔牛は、実は強制収容所に送られるユダヤ人の子どものことだった!? というミステリーを解くことに始まり、ボブ・ディランやジョーン・バエズ、中島みゆきまで。当時の社会のありさまを、歌に込められたものから読み取ろうというおもしろい企画。高校生向けということもあり、記述も平易で分量も適当。「思い出のグリーングラス」の歌詞が日本語訳されるときにどう変えられたか、というのもおもしろかった。日本語詞では「傷心で田舎に帰ってきた私だけど、家族っていいねー」という歌なんだが、もとの英語詞を見てみると……。でも、たんに「だーから日本の歌はだめだめじゃん」という表面的な総括をしないのもよし。
まぁ、本から音は聞こえてこないわけで、そこらへんはいたしかたないがもどかしい。また、「ドナドナ」はすごく新鮮だが、ボブ・ディランやジャニス・イアン、中島みゆき……となると、なんか人選的にわかりやすくないか? いや、ケチつけてるわけじゃないけどさぁ。ちと「ポップ・ミュージック」の選び方が偏ってないか? たとえばブルース・スプリングスティーンがとかさ、実はブルーハーツの『リンダ・リンダ』には……とかさ、エミネムにちろっと触れるとかさ……だと、もっと「すげー」って言えそうなんだけど。
まじめな本なので、「これで精一杯」という感じは否めないが……基本的には楽しく読めたし、チャレンジとしてグッジョブだと思う。
- レビュー投稿日
- 2014年3月30日
- 読了日
- 2006年3月30日
- 本棚登録日
- 2013年5月19日
『理想の教室 ポップミュージックで社会科』のレビューへのコメント
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