H・M卿のファルス色は、舞台が戦時下ということもあるのか抑え気味だったが相変わらずの筆力と事件の不思議さで一気に読み進められた。
トリックに関して言えば、初期のすさまじいトリックメーカー振りというよりは、解説にもあったけどいくつかのトリックを組み合わせ、またそれを上手く見せることによりかなり見事な仕掛けになっていると思った。まあそのいくつかは現代の、特に日本人には9割がた分からない(説明聞いてもピンと来ない)ものではあったけど、別にそれは瑕疵にはならないでしょう。発表当時はリアルだったんだろうし。
解決の場面でのH・M卿の話はいちいち感嘆させられた。もやもやが次々に解決され、盲点を突かれ、膝を打って、の連続だった。ラストもカーおなじみのハッピーエンドで「めでたしめでたし」と思いつつ読み終わることができて一安心。
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カテゴリ:
ミステリ
- 感想投稿日 : 2005年2月6日
- 本棚登録日 : 2005年2月6日
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