伊集院さんvsシリウスシリーズ。こないだの『蝶の墓』は竜崎晶君の魂の目覚めの物語だ、という感想を書いた。モリアティ教授のようにシリウスは復活するだろうけれども晶の前で魔力をなくしてしまった……と。今回のはシリウスに替わる稀代の存在としての晶君の目覚め物語になるのだろうか。『蝶の墓』当時15歳だった晶君は20歳に成長してお兄さんと東京で暮らしている。見かけほどヤワでもお姫様でもない晶君はダンサーの卵としてオーディションを受ける毎日。そんな彼の周りにまた不吉な影が……。
彼が舞台こそ自分の戻るべきというか、存在できる唯一の本拠地、みたいに悟る部分は非常に共感できる。舞台とかの虚構の世界で虚構の人格を演じる時に得られる充実感というか陶酔というかは一度経験してしまうと忘れられない。探しても探しきれない自分の故郷はやっぱりそこにあるのかもと思ってしまう。でも苦節10年とかいうのはいただけないと栗本さんは誰かに言わせている。出るべき人は早くに出ているものだと。確かに私もそう思う。
ところで栗本さんは「天狼」を主宰してミュージカルもやっているのだけれど、最新作「天狼星」のCDというのを聞かせてもらった。作詞作曲もやっているのよね。もちろん、舞台の脚本を書いて演出をするのだし。本当に彼女は多才な人だ。表現したいものがあちこちにあるんだよね。'97
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栗本薫
- 感想投稿日 : 2005年7月20日
- 本棚登録日 : 2005年7月20日
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