ムーン・パレス (新潮文庫)

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本棚登録 : 2971
レビュー : 339
制作 : Paul Auster  柴田 元幸 
夜さん 青春   読み終わった 

オースターの作品のなかでもとりわけ人気が高いと言われる小説。
端的に言うと自分探しのための生き方を一時期した青年の物語。
それでいて最後まで読むと三世代の男たちの物語であることも分かる。

大学生のフォッグが、唯一の肉親であるビクター伯父さんを亡くすことから始まる第一部が私は一番好きだった。
大好きで拠り所としていた人を失い、悲しみのあまり自分の持っているものを全て失うように仕向け、そして全て手離して堕ちたところから再生が始まる。
全て失ったように見えて、失っていないものの存在に気づく瞬間の温かさ。そしてまた再生していく、人間の力強さ。

青春小説でありつつ謎解きのような要素も孕んでいるからあらすじは書けないけれど、第二部第三部と読み進んで少しずつ謎に気づいていくつくり。勘の良い人ならわりと早い段階で気づくのかも知れない。
予定調和というか、あまりにも出来すぎた流れだと思うところもあるけれど、フォッグが大人になるためには必要な流れだったのだろうと思う。タイミングの妙みたいなもの。

失う痛み、気づき、そして人を赦すこと。ひとつずつを経験して、人は自分を知っていく。

ちょっと長くて正直読み進まなくなった場面もあるから、個人的にはもう少し物語が圧縮されてた方がより好ましい。
しかしながら青春小説としては必読とも言える作品。圧巻。

レビュー投稿日
2016年2月4日
読了日
2016年2月4日
本棚登録日
2016年2月4日
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