星々の舟 Voyage Through Stars (文春文庫)

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本棚登録 : 3790
レビュー : 418
著者 :
夜さん 家族   読み終わった 

この小説は2003年に直木賞を受賞したときに読んだ。
そしてこの小説から影響を受けて“家族”というものについてじっくり考えた。大きなきっかけを与えてくれた。
再読しようと本棚を探したけれど見つからなくて、結局文庫を買い直した。

あるひとつの家族の物語。父の重之を軸に、二人の息子、二人の娘、孫、そして先妻と後妻。
それぞれに歩んできた人生には、当然家族には明かさない秘めた思いもあったりして、そのことによって理解し合えずに長年平行線を保ったまま進んでしまった関係性もある。
だけどそこにはけして拭い去れない愛情があって、それが一見ばらばらに見える家族を細い糸で結びつけて、大きな星座のようなかたちを造っている。

背景には第二次世界大戦もあって、戦争をリアルに知っている世代とそうじゃない世代とでは、大きな隔たりがあることは否めないと思った。
どちらが偉いとかいうことではなくて、否応なしに時代に巻き込まれて自由を失った世代の人にしかわからない感情というのは、確かに存在するのだと思う。

ここからは、再読して個人的に再確認したこと。
自分の人生の主役はもちろん自分だから、どうしたって自分の記憶や経験や感情に焦点を当てて物事を考えたり解釈したりしてしまう。
最も身近な家族に対してもいろいろな思いを抱くけれど、自分から見た両親、自分から見た兄弟姉妹、自分から見た子ども…という見方にどうしてもなってしまう。
でもそれぞれ歩んできた人生があって、とくに親のことに関しては知らない部分のほうが多いけれど、親の人生はどんな人生だったのかということを知るにつけ、自分との接し方や親としてのあり方に対しての疑問が少しずつ解き明かされていく。

実際はそこまでの理解をするのは難しいけれど、私の場合は苦しんだ時期があったから、それを知ることでそれまでのいろんなことを納得できたし、いい意味で諦めたり赦したりする大きな転機になった。
親には親の人生があり、それぞれの苦しみがあったということ。
初めて読んだときから10年以上が過ぎたのだけど、その思いはまったく変わらなかった。

きっとまた読む日が訪れるだろうから、今度こそはきちんと本棚に残そうと思う。

レビュー投稿日
2015年4月30日
読了日
2015年4月30日
本棚登録日
2015年4月30日
3
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