強運の持ち主 (文春文庫)

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レビュー : 587
著者 :
夜さん 職業   読み終わった 

元OLが営業の仕事で鍛えた話術を活かし、ルイーズ吉田という名前の占い師に転身。ショッピングセンターの片隅で、行列のできる占い師として生きる。
恋人の通彦は星回り的には強運の持ち主。のはずだけど、今のところはとても平凡な公務員だ。
占い師という仕事を通じて出逢う様々な人とのエピソードと、ちょっとずれてる通彦との面白おかしい生活を描いた物語。

占い師って、占いの才能が第一に必要なわけではなくて、相手の話を否定せずに聞くことや、悪い結果だとしてもそれをいかにして傷つけないように相手に伝えること、が必要でそれが適性というものなのだと思う。
そういう意味ではカウンセラーにも通じるような仕事で、占ってもらう側は、自分の悩みを聞いて背中を押してもらいたいと望む人が多い。
ルイーズ吉田は占い自体はけっこう適当だけど(笑)、そういう適性はものすごく高い。占いからかなり外れた部分で相手の悩みを聞いてあげちゃったりする。
でも必死感はなくて、どことなくのほほんとしている。
人の悩みを吸収せずにある程度受け流せる。そういう人じゃないと出来ない仕事だ。

全体的に幸福感が漂う小説だった。
ルイーズ吉田(本名は吉田幸子)と恋人の通彦のおかしなやり取りや、強運なはずなのに全然そうは見えない通彦が作る変すぎる料理の数々。
占いにやってくる人のエピソードもよくよく考えてみればけっこう重いものもあるのだけど、何となくほっこりと感じられるのは、温かみと少しのおかしみがある文章の力なのかも。

生きていれば色んな辛さや悲しみがあるけれど、それに触れて救いの手を差しのべてくれる人もいて成り立っているのだということ。ひどい人間も確かにいるけれど、そういう人ばかりじゃない。人生捨てたもんじゃない、と思える出来事だって、実はけっこうある。
占い自体は、当たるも八卦当たらぬも八卦くらいに捉えるのが正解だと思うけれど、聞いてくれる人がいるというのがきっと重要なんだ。
ルイーズ吉田が実際にいたら、適当な占い、してもらいたい。笑

レビュー投稿日
2016年5月27日
読了日
2016年5月27日
本棚登録日
2016年5月27日
4
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