女優になる以前に銀座の映画館でチケットのもぎり嬢のアルバイトをしていたという筆者の、当時のこと、女優になったのちの映画館との関わりのこと、旅先での映画館のこと、を綴ったエッセイ集。
片桐はいりさんのこと、女優さんとして特別ファンというほどではなかったけれど、観る作品に出演しているとついつい気になる、という存在だった。
エッセイ読むと人柄がわかるからいい。片桐さんがいかに映画や映画館を愛しているかがよくわかるエッセイ集だった。
俳優だけど映画観ない、とか、ミュージシャンだけど音楽聴かない、とかいう人もたまにいるし、確かに同じジャンルから吸収するのって限界があるのかもしれないけれど、そういうのとは別で単純に好きだから触れる、っていう初期衝動みたいなものって大事だと思う。
単館系の映画館、今はシネコンに押されて(とくに地方都市は)少なくなったように思う。
私の地元も同じで、最後にそういう小さな映画館に行ったのは中学生の時。その後郊外にシネコンが出来て、高校生以降は映画を観るときはほとんどそのシネコンになり、小さな映画館は消滅してしまった。
今思うと、あのうらぶれた雰囲気がまた良かったんだよなって懐かしく思う。
このエッセイはそういう小さな映画館のことも綴られていて、味のある文章とともに「こういう雰囲気の映画館なのかな」と想像出来る。
私の住んでる隣の市には一軒だけミニシアターが残ってて、たまに行くけれど、なくなって欲しくないなとこの本を読んで強く思った。
DVDやBlu-rayで映画を観るのも便利でいいけれど、記憶に残るのはやっぱり映画館で観た映画。
本のタイトル、各エッセイのタイトルも何かの映画のタイトルをもじったものになっているのも、映画愛を感じました。
- 感想投稿日 : 2014年10月2日
- 読了日 : 2014年10月2日
- 本棚登録日 : 2014年10月2日
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