TOKYO YEAR ZERO

  • 文藝春秋 (2007年10月12日発売)
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感想 : 33
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イギリスの作家が書く占領下の日本での事件。東京3部作の第1作。
連続強姦殺人犯、小平義雄を追う警察官たちの話です。

1つの行に本文と太字で書かれる挿入文とが混ざっており、読みにくいです。
でも、読みにくいなあ・・・と思いながら、1日で読んでしまいました。面白かったです。

小平義雄が逮捕されたのは終戦後ですが、実は終戦前から彼は犯行を繰り返しています。終戦直前に発覚した、小平がやっているはずの事件を、小平に結びつけずに封印しようとする警察官たち。この事件が明るみになれば、彼らの身が危なくなるからです。
人種差別、冤罪、憲兵たちの逃亡、隠蔽、占領軍とヤクザの絆。本当に色々なものが複雑に交錯して、一見何も明確にならないまま、話は終わります。

「見かけ通りの人間は誰もいない」と、主人公は繰り返しつぶやきます。
同僚が昨日までと全く違う顔で同じ名前を名乗っていても、気づかないふりをする空気。怖ろしいです。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: デイヴィッド・ピース
感想投稿日 : 2013年5月28日
読了日 : 2013年5月25日
本棚登録日 : 2013年5月12日

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